肥満または過体重である場合、夕方に中高強度身体活動(MVPA)を行うことが血糖値を下げるのに最も効果的であるという研究結果が公開された。夕方に中高強度の運動を行うことが、血糖値を下げるのに効果的である。
スペインの研究チーム、肥満・過体重の成人186人を対象に研究
スペイン・グラナダ大学のヨナタン・ルイス教授チームは、11日、米国肥満学会(TOS)の学術誌「Obesity」で、肥満・過体重の人を対象に運動効果を実験した結果、夕方の運動が血糖コントロールに最も効果的であることを発表した。
研究チームによると、この結果は、血糖値を常に安定させるためには運動の量だけでなく、時間帯も関連していることを示している。臨床で運動療法を処方の際には、最適な運動時間帯も一緒に考慮すべきだと説明している。
また、研究背景について、中・高強度の運動がインスリン抵抗性の発症リスクが高い、肥満・過体重の成人の血糖調整を改善する効果があることは知られているが、このような運動をいつ行うのが効果的か、いまだ不明確であることを挙げている。
研究チームは、グラナダとパンプローナに住むBMI32.9㎏/㎡(約81ポンド/平方フィート)の肥満・過体重の成人186人(平均年齢46歳)を対象に、14日間、手首に装着するデバイスで身体活動と血糖の変化を測定した。
参加者を三つのグループに分け、1日の中・高強度の運動量のうち50%以上を午前中に行った朝のグループと、正午から午後6時まで行った午後のグループ、午後6時から真夜中まで行った夕方のグループと設定し、運動時間帯と血糖の変化の関連性を分析したのだ。
「夕方の運動が血糖値を下げる効果あり。実験で確認」
分析の結果、夕方に中・高強度の運動を50%以上行うと、非活動的な場合に比べて昼と夜、1日の血糖値がすべて低くなることがわかった。
夕方の運動グループは非活動的なグループに比べて1日の血糖値が1.26㎎/dL(約22.6mg/dL)低く、昼間の血糖値は1.10㎎/dL(約19.8mg/dL)、夜間の血糖値は2.16㎎/dL(約38.9mg/dL)低かった。
また、この関連性は血糖調整障害のある参加者により強く現れ、男性と女性の両方で同様の関連パターンが見られた。
研究チームは、この結果が夕方により多くの中・高強度の運動を行うことが肥満や過体重、代謝障害があり、座って生活する大人の血糖調整の改善に役立つことを示していると説明した。
研究を主導したルイス教授は「この研究結果は、精密運動処方の重要性をよく示している」とし、「臨床で処方する運動・身体活動プログラムの効果を高めるためには、最適な運動時間帯を一緒に考慮すべきだ」と述べた。