ドナルド・トランプ次期米大統領は16日(現地時間)、フロリダ州マー・ア・ラゴの自宅で記者会見を行った。トランプ次期大統領はこの日の会見で、相互主義に基づいて関税を押し進める方針を改めて表明した。
ドナルド・トランプ次期米大統領は16日(現地時間)、関税や外交政策など様々な課題について当選後初の記者会見を開いた。
日本のソフトバンクの孫正義(ソンまさよし、ソン・ジョンウィ)会長兼最高経営責任者(CEO)を招き、フロリダ州マー・ア・ラゴの自宅で1,000億ドル(約15兆3,600億円)の対米投資計画を発表した後の記者会見だった。
この日、大統領職引き継ぎチームがトランプ次期大統領に対し、選挙公約で掲げた電気自動車補助金廃止政策の実行を提案したとの報道が出る中、トランプ次期大統領は自身の公約を堅持する姿勢をこの日の記者会見で明確にした。
激しい通商摩擦が押し寄せることを改めて示唆した。
関税
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ次期大統領は世界中の製品に輸入関税を課すという選挙公約を再確認したと伝えた。
彼は「彼らが我々に税金を課すなら、我々も彼らに税金を課す」と主張した。
トランプ次期大統領の通商政策を最前線で推進することになるハワード・ラトニック商務長官候補は、トランプ第2期政府の貿易政策は相互主義が基本になると予告した。
ラトニック氏は中国との貿易協定締結に関する質問に「相互主義が核心テーマとなる」とし、「彼らが我々をどう扱うかが、彼らがどう扱われるかを左右する」と述べた。
トランプ次期大統領は「関税が我が国を豊かにする」と断言した。
トランプ次期大統領は選挙戦中、全ての輸入品に10〜20%の関税を課すと表明していた。また、カナダとメキシコに対しては、不法薬物と不法移民を制御できない場合、25%の関税を課す可能性があると警告。中国には大規模な関税に加え、さらに10%を上乗せする可能性があると述べていた。
来年1月20日のトランプ次期大統領の就任日が近づくにつれ、彼の公約が単なる選挙戦略にとどまらず現実となるのではないかとの懸念が高まっている。
ハマスに「全ての地獄の門が開く」と警告
トランプ次期大統領は世界各地の紛争も早急に終結させると誓った。
彼は、まだ人質問題が解決せずイスラエルとの停戦が実現していないガザ地区の武装組織ハマスに対し、来年1月20日の自身の就任までに全ての人質を解放するよう警告した。
その期限までに人質が解放されなければ、ハマスに対して「全ての地獄の門が開く」と脅した。
彼は詳細には触れず、最近イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とこの問題について協議したとだけ述べた。
トランプ次期大統領はトルコを称賛した。トルコの支援によりシリア内戦で反政府勢力が優位に立ったと主張した。
現在、シリアには約900人の米軍が駐留している。
また、ロシアとウクライナの戦争も終結に向けて努力していると述べ、詳細は明かさなかったものの「いくつかの進展がある」と語った。
上院の承認公聴会
トランプ次期大統領は自らが指名した閣僚候補の一部が論争を呼んでいることに関連して、上院を牽制した。
彼は「政治的理由や愚かな理由で一部の指名者に反対するなら、その上院議員は次の選挙で苦戦するだろう」と警告した。
しかし、トランプ次期大統領は上院議員の反対が「合理的かつ公正な根拠に基づいて(指名者の)何かや、その人物を受け入れられないというものであれば」、自身もそれを真剣に検討すると述べた。
トランプ次期大統領は自らが選んだ指名者たちを「傑出した人材の集まり」と称賛した。
大半の指名者は共和党上院議員の支持を得ているが、ワクチン陰謀論者で保健福祉長官候補のロバート・ケネディ・ジュニア元上院議員と、性的暴行疑惑のあるピート・ヘグセス次期国防長官候補は強い反発に直面している。
ワクチン・TikTok
トランプ次期大統領はまた、ワクチンに関してケネディ・ジュニア候補と同様に義務接種には反対の立場を示しつつ、ポリオワクチンの普及を中止することはないと約束した。
さらに、ワクチンが自閉症を引き起こすというワクチン反対派の主張についても検討すると述べた。もし誤りがあれば、それを明らかにすると誓った。
一方、トランプ次期大統領はTikTokについては言及を避けた。
彼は大統領選直前、中国のByteDance(バイトダンス)傘下のソーシャルメディアTikTokの禁止に反対する立場を示していたが、その後この件に関する見解を明らかにしていない。この日の会見でも何の言及もなかった。
トランプ次期大統領が公約通りTikTokを救済するとの見方が優勢だが、ジョー・バイデン大統領が署名したように来年1月19日にTikTokが禁止される可能性も依然として残されている。