現代自動車グループのチョン・ウィソン会長とトヨタグループの豊田章男会長が再び顔を合わせる可能性が高まっており、その会談が新たなモビリティ協力への第一歩となるのか注目されている。両者は先月、龍仁(ヨンイン)で、今後のモータースポーツとモビリティの未来を共に創造していく意向を表明しており、その流れが今月末にも続くと予測されている。特に水素、ロボット、自動運転といった分野での協力が現実化するかどうかが焦点だ。
チョン・ウィソン訪日の今後の可能性
自動車業界の関係者によれば、チョン・ウィソン会長と豊田章男会長が21日に名古屋で開催される世界ラリー選手権(WRC)に参加する可能性が高いと予測されているとのことだ。WRCは国際自動車連盟(FIA)が主催する、世界で最も権威のあるモータースポーツイベントで、全13ラウンドで構成されている。今年名古屋で行われる大会は、WRCの最終戦となる。
業界の見解では、豊田会長がチョン会長を招待した可能性が高いとされている。豊田会長は1956年生まれの比較的高齢にもかかわらず、自らレーシングを楽しむ「自動車愛好家」であり、最近韓国を訪問したことから、チョン会長を日本に招待したのではないかと推測されている。
豊田会長は昨年のWRC日本ラリーにも参加しており、その熱意を見せていた。先月27日の「Hyundai N x TOYOTA GAZOO Racing Festival」では、「2週間後にWRC日本大会が開催される。現代自動車が首位に立っているが、我々のGAZOOチームも最後まで全力を尽くす」とコメント。また、「アジアを代表する2大企業が参加する大会であり、多くの関心を寄せてほしい」と大会を直接紹介した。
チョン会長も同イベントで「トヨタグループとの協力をさらに深めていく」と述べた。また、業界関係者によると、チョン会長は当初予定していたアメリカ・ロサンゼルスのモーターショーの訪問をキャンセルしたという。モーターショーの開催日程とWRCの大会日程が重なったことが影響していると分析され、チョン会長の訪日の可能性が高まっている。
雰囲気も良好だ。豊田会長は「Hyundai N x TOYOTA GAZOO Racing Festival」で、韓国を再訪する意向について記者に問われ、「その通りだ」と答えた。
具体的なモビリティ協力の方向性は示されるか
業界内では、両会長が頻繁に会談を重ねている理由を、モビリティ分野での協力関係を深めるためだと見ている。その代表的な分野として挙げられるのは、水素、ロボット技術、自動運転技術などであり、両グループは現在、グローバル水素車市場で1位と2位を占めている。しかし、依然として世界的な販売台数は十分な規模には達していない。市場調査会社SNEリサーチによると、今年上半期におけるグローバルの水素車販売台数は5621台で、前年同期比34.1%の減少を記録した。その間、現代自動車とトヨタの販売台数もそれぞれ42.6%、44.9%減少している。
この状況を打開するためには、両社の協力が不可欠だとの分析がある。現代自動車とトヨタは、すでに水素事業における方向性を示しており、特に現代自動車は、2025年に新型乗用水素電気自動車を発売する計画を発表し、先月末にはコンセプトカー「イニシウム」を公開した。
一方、トヨタはBMWと提携し、2028年にはBMWの初の水素電気自動車を発売する予定だ。今年4月には、初めてエンジニア出身の佐藤恒治氏をトヨタ自動車の最高経営責任者(CEO)に任命した。佐藤氏は、トヨタでの電動化戦略をリードしてきた人物で、電気自動車や水素自動車の開発を担当している。
また、ロボット技術と自動運転分野でも協力が進んでいる。現代自動車はボストン・ダイナミクスの最大株主であり、トヨタは自社の研究機関であるトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)と共に、AI技術を活用した人型ロボットの開発で協力している。このパートナーシップは先月中旬に締結されたものであり、業界関係者は「(両会長の)公式会合を重ねることには大きな意味がある」と指摘しており、「類似の課題を抱える企業が協力することで、新たなシナジーが生まれる可能性がある」と語っている。