米国食品医薬品局(FDA)は2日(現地時間)、イーライリリーのアルツハイマー病薬ドナネマブの使用を承認した。
FDAは、キスンラ(Kisunla)という商標名で販売されるドナネマブ成分のアルツハイマー病薬をアルツハイマー病の初期症状を示す成人を対象として使用できるようにした。CNBCによると、現在アメリカだけでアルツハイマー病患者が700万人近くいる。
アルツハイマー協会によると、アルツハイマー病は65歳以上の米国成人の死因の中で5番目を占めている。また、米国のアルツハイマー病患者数が2050年には現在の2倍近くの1300万人に達すると予想している。
ドナネマブは、この日の承認までに困難を経験した。
昨年、FDAの承認が拒否されたことがある。不十分な臨床試験データにより承認が拒否され、昨年3月にも突然承認が遅れた。
しかし、今月初めにFDAの外部諮問委員会がドナネマブの完全承認を推奨し、FDAの承認が予告された。諮問委員会は、副作用のリスクよりも利益が大きいと判断した。
ドナネマブは、バイオジェンと日本のパートナー企業エーザイが出したレケンビ(Leqembi)と競争することになった。レケンビは、昨年夏のFDA承認後、すでに普及が始まっている。
バイオジェンとエーザイは、以前アデュヘルム(Aduhelm)という認知症薬を承認され、販売していたが、最近販売を停止した。アデュヘルムは、アルツハイマー病患者の脳内のアミロイドプラークを減らすことに焦点を当てた最初の薬だった。
FDAは、2021年の諮問委員会の不許可の推奨にもかかわらずこれを承認し、反発を受けた。
ドナネマブとレケンビは、アルツハイマー病治療薬の開発30年の結果物だ。
両薬の成分は、どちらも単クローン抗体で、アルツハイマー病患者の脳で特徴的に現れる毒性アミロイドプラークを除去する役割を果たす。アルツハイマー病を治療するわけではないが、初期の段階で進行を遅らせる役割を果たす。
しかし、ドナネマブとレケンビの両方には、致命的な副作用のリスクもあり、脳が腫れ上がる脳浮腫、脳内出血のリスクがある。副作用の症状は、深刻になる可能性もあり、死に至る可能性もある。
イーライリリーのドナネマブの臨床3相試験では、患者3人がこのような重篤な副作用で死亡したことがある。一方、イーライリリーはGLP-1系列の糖尿病治療薬モウンザと、この成分を基にした肥満治療薬ゼップバウンドとともに、アルツハイマー病薬も持つことになった。
イーライリリーの時価総額は8157億ドル(約131兆円)で、世界で10位だ。製薬会社としては、時価総額基準で世界最大の企業だ。