来年1月に発足するトランプ第2期政権は、超大型の「関税爆弾」を投下する構えを見せている。トランプ次期大統領は25日(現地時間)、来年1月20日の就任当日に中国に対して、10%の追加関税を課すと宣言した。さらに、カナダとメキシコにも25%の関税を課す方針だ。中国はアメリカにとって最大の輸入相手国であり、国境を接するカナダとメキシコが2位と3位と続く。これら3カ国だけでアメリカの輸入総額の40%以上を占める。
トランプ次期大統領はSNSで、中国産原料を使用してメキシコで生産・流通される麻薬フェンタニル問題と不法移民問題に言及し、「彼らは非常に大きな代償を払わなければならない」と投稿した。そして、中国に10%の追加関税を課すだけではなく、メキシコ・カナダ産製品に25%の関税を課す行政命令に署名すると述べた。メキシコ・カナダと締結した貿易協定(USMCA)も、いつでも無効化できるという姿勢を示し、アメリカ第一主義を露骨に打ち出した。同盟国である韓国との自由貿易協定(FTA)も例外ではない可能性がある。
貿易相手国に対する高率関税、貿易黒字縮小を迫った第1期トランプ政権時代とパターンはほぼ同じだが、異なる点はスピードがより速く、圧力の水準がより高まったことである。中国を狙った刃はさらに鋭くなり、中国産製品に対して60%に達する報復関税を課す公約に加え、10%の追加関税を加えれば、中国産品の関税率は電気自動車が100%、太陽光発電や半導体が50%を大きく超えることになる。中国メディアは即座に「トランプが再び関税の棍棒を振り回している」と批判し、アメリカ消費者の負担だけが増えると指摘した。
韓国も火急の事態に直面している。メキシコに生産工場を持つサムスン電子、LG電子、起亜自動車、ポスコといった韓国企業の対米輸出が直ちに打撃を受ける可能性が高い。また、韓国の対米貿易黒字が急増していることを理由に、韓国製品への原産地規制の強化や輸入枠の縮小が懸念される。さらに、米韓FTAの廃止はもちろん、「スーパー301条(貿易法301条)」を切り札として行使する可能性もあり、在韓米軍の防衛費分担金も現在の9倍に当たる年間100億ドル(約1兆5,370億円)規模に引き上げるよう要求するかもしれない。2019年にトランプがFTAの廃止と防衛費の引き上げを要求して実利を得たのも同様の手法だった。
関税爆弾は弱点を容赦なく崩壊させる。対米輸出の道が閉ざされれば、中国は自国産の中間財や半製品を東南アジアや中東市場に低価格で押し込むだろう。鉄鋼、アルミニウム、石油化学製品、太陽光パネル部品、繊維、ディスプレイなど、韓国と競合する品目が多く、企業はさらに深刻な被害を避けられない。トランプリスクに加えて「チャイナリスク」までもが同時に韓国を襲いかかっている。
韓国国内の状況も楽観視できない。深刻な内需低迷により、企業景気実査指数は史上最長の33ヶ月連続で悪化している。消費者心理指数も2年4ヶ月ぶりに最大の下落幅を記録し、韓国経済は内憂外患の厳しい局面に直面している。こうした状況を打開するには、先手を打った徹底的な対策が必要だ。韓国と協力が期待される主要産業、たとえば海洋防衛(造船)や原子力発電、半導体といった分野で交渉材料を整えることが求められる。さらに、アメリカ産天然ガスの輸入拡大といった「対等な取引」に利用できるカードを握ることも重要だ。
外交力を総動員し、韓国がアメリカ最大の投資国の一つであり、その経済成長と雇用創出に大きく貢献していることを積極的に説明するべきだ。また、韓国産鉄鋼に対する輸入枠の制限といった企業への制裁措置を少しでも緩和するよう努めなければならない。政界も非常時であることを認識し、経済再生に向けて一丸となって取り組む必要がある。