最近、北朝鮮の金正恩国務委員長の顔が描かれたバッジ(胸に着用する肖像徽章)が初めて公開され、注目が集まっている。これについて、金日成・金正恩の偶像化作業とは異なり、金正恩単独の偶像化作業にスピードを出しているという分析が示された。
2日、韓国・統一部などによると、朝鮮中央通信が公開した労働党中央委員会第8期第10回総会の2日目である先月29日に行われた会議の写真で、出席幹部全員が胸の左側に金正恩の顔が描かれたバッジを付けていることが明らかになった。
■2012年に製作?初の単独肖像徽章を公の場で公開
金正恩の単独肖像徽章は、彼の父である金正日死後の2012年に製作されたとも伝えられているが、彼の単独バッジが公開されたのは今回が初めてで、これまでは金日成・金正日が共に描かれているバッジを着用していた。
肖像徽章は、北朝鮮の一般市民から最高階級まで必ず胸に付けなければならないという代表的な金氏一族の偶像物で、北朝鮮が先代を超えた金正恩に対する偶像化作業を通じて独裁体制強化にスピードを上げていると分析されている。
最近、北朝鮮では金日成の誕生日の名称である「太陽節」を「4・15」に変更し、平壌の錦繍山地区の労働党中央幹部学校の外壁に金正恩の肖像画が金日成・金正日の肖像画と並んで掲示された。
2013年の第5回南北当局間の実務会議期間中、北朝鮮の中央特区開発総局の関係者たちは、金正恩肖像徽章の存在に関する南側の取材陣の質問に「ある。2012年初め頃に作られた。丸い形と四角い形の2種類がある」と答えたことが伝えられた。
■核武装、露朝同盟による自信を示す..核への執着心を明らかに
外交安保の専門家は、金正恩が自身の業績を前面に出し、独自の方法で偶像化にスピードを出していると観測した。
これについて、高麗大学一民国際関係研究所のバン・ギルジュ国際機構センター長は、本紙との電話インタビューを通じて「金正恩が素晴らしい業績を達成したと自評し、偶像化を加速化する時期が来たと判断したように考えられる」と述べた。
バン国際機構センター長は「金正恩は、先代では達成されなかった核武装を自身が達成したと判断し、今や核大国として北朝鮮の影響力を国際舞台で示す水準になったという認識が定着したようだ」と指摘した。
また「先代の金正日も友好条約の締結程度しか達成できなかったロシアとの関係を、金正恩自身は軍事同盟レベルで新たに二者関係を形成したという判断を業績として示している」と分析した。
■北朝鮮の誤判断の可能性が高まり、韓国の対北戦略のゲームチェンジが必要
また彼は、これらの行動から「金正恩は自身の絶対的な業績が『核武装』であるという判断が定着し、非核化を絶対にしないという意志と計画があるように考えられ、北朝鮮自らの非核化の可能性はさらに低下した」と判断した。
バンセンター長は「ロシアが北朝鮮の公式的な核保有国という地位を認める可能性があるということが提起されるほどである」と述べ「偶像化が可能な程度に業績を積み上げたという判断は、金正恩の誤判断を招く可能性が高まったということを意味する」と解説した。
そして「核武装に消耗した資源で経済が衰退した状況を業績で打ち消し、政権の安全を強固にする計画のようだ」と付け加えた。
彼は「非核化の可能性が薄まり、挑発の可能性が高まった状況で、韓国も対北戦略のゲームチェンジが必要となった」と述べ「NCGプラスアルファは何なのか、抑止力をどのように強化することができるのかについての詳細対策を考える必要がある」と強調した。