韓国の投資家たちが中国と日本の株式市場から撤退していることが明らかになった。年初から回復傾向を見せていた中国の株式市場が先月から下落傾向を示し、円が最低水準へとどまると共に日本経済の不確実性が高まったことにより、比重を減らす動きが見られている。中国と日本から撤退した個人投資家たちの資金は、米国株式市場へ向けられているという。
■中国株式の保有額、今年最低値となる
3日、韓国預託決済院の証券情報ポータル「セイブロ(seibro)」によると、韓国の投資家たちの先月の中国株式保有額は8億7400万ドル(約1,406億円)で月間基準、今年最低値を記録したという。5月(9億4100万ドル/約1,514億円)と比べて、4.37%減少したことが分かった。
今年初めまでは、中国への韓国人投資家たちの中国株式保有額は、景気回復の期待感により増加傾向を示していた。去る1月、8億830万ドル(約1,300億円)だった保有額は、3月には9億8300万ドル(約1,582億円)にまで増えた。
しかし、5月まで9億ドル(約1,448億円)台を維持していた保有額は、先月9億ドル(約1,448億円)以下となった。これに伴い、香港株式保有額も急減した。6月の香港株式保有額は16億100万ドル(約2,576億円)で、前月(17億1100万ドル/約2,753億円)比6.42%減少したことが明らかになった。
回復傾向だった中国株式市場が5月中旬以降、下落傾向に転じ、中国への韓国人投資家たちが撤退し始めた。実際、5月20日から今月2日までの約40日間で深圳成分指数は1793.98から1720.74へ、4.08%が下落した。同期間、上海総合指数も3171.15から2997.01へと下落し、3000ラインが崩壊したという。
市場の期待に達することのできなかった中国の5月の経済指標は足を引っ張ることとなった。5月の中国の工業生産は前年同期比5.6%増加し、市場予測(6.0%)を下回ったのだ。5月の製造業の利益成長率が鈍化した点も否定的に作用したようだ。
信栄証券のソン・ヨンジュ研究員は「5月の経済指標を見てみると、生産と固定資産投資などが不振であり、市場予想を上回った小売売上高も詳しく見てみると、景気対策を展開した自動車などが不振だった」とし、5月の製造業の利益成長率が鈍化し、不動産取引量も低迷しているため、指数も否定的な結果を表したと説明した。
また、韓国の投資家たちは日本株式市場からも撤退した。円の価値が37年ぶりの最低水準にとどまり、為替損失が大きくなった上、経済の不確実性が高まり、株式投資の魅力が低下した。
韓国の投資家たちの先月の日本株式保有額は40億4800万ドル(約6,515億円)であった。5月(41億2300万ドル/約6,636億円)と比べて1.9%減少したことが分かった。特に、日本への韓国人投資家たちは先月、日本株式の3,089万ドル(約49億円)ほどを売却し、昨年3月以降、約15ヶ月ぶりに売却優位を示した。
■米国株式保有額は年間最高値を記録
韓国の投資家たちが、中国と日本を離れ向かった先は「アメリカ」である。韓国の投資家による先月の米国株式保有額は870億8000万ドル(約14兆円)で月間基準、今年最高値を記録したことが明らかになった。年初(646億9300万ドル/約10兆円)と比べて、34.60%増加した数値であった。
米国株式市場が連日最高値を記録し独走する中、投資家たちも積極的な投資傾向を見せているとの評価がされている。また、アメリカなど海外への韓国人投資家が最も好む銘柄であるNVIDIAを中心に、信頼できる企業の株式買いが続いている点も影響を与えたという。実際に、アメリカなど海外への韓国人投資家による最近1ヶ月間の購入銘柄1位はNVIDIAであり、この期間中12億209万ドル(約1,935億円)の買い取りが行なわれたことが分かった。
証券界では、下半期も米国株式市場の上昇傾向が続くと予想している。ただし、上昇幅は上半期よりも鈍化するとの見通しだ。上半期はAI(人工知能)バリューチェーンの中でも半導体が主導部門だったが、下半期は中小型株式と消費財にも注目するべきだとアドバイスした。
ユアンタ証券のファン・ビョンジュン研究員は「下半期の米国株式市場の場合、『上昇』という方向性は有効だが、上半期に比べて上昇幅は鈍化する見通しである」とし主導株であったマグニフィセント・セブン(M7)の上昇モメンタムが弱まっているからと説明した。さらに、利下げに対する期待感が再度高まっているだけに、下半期には中小型株式や機械、電力機器などの消費財が主導部門となる可能性があると付け加えた。