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パンデミック期に電気・水素トラックで注目を集めたニコラが19日(現地時間)、破産保護を申請した。
空売りのヒンデンブルグ・リサーチが「ニコラは詐欺だ」とし、「ニコラのトラックが実際には走行不能の空っぽの車体」だと告発したことを受け、経営陣交代などの対策を講じたものの、破産を回避することはできなかった。
ニコラは買収先も見つからず、会社存続に必要な追加資金の調達にも失敗したため、最終的に破産保護に踏み切った。
CNBCなど海外メディアによると、ニコラは裁判所の承認を得た後、資産をオークションなどで売却する計画だ。
ニコラは現在の手元資金が約4,700万ドル(約71億3,351万6,180円)であり、この資金で資産売却や破産保護からの脱却などの手続きを進められると見込んでいる。
スティーブ・ガースキー氏は「他のEV企業同様、ニコラも事業に影響を及ぼすさまざまな市場要因やマクロ経済要因に直面した」と述べた。
ガースキー氏は「最善を尽くしたが、深刻な課題を克服するには不十分だった」とし、「取締役会は、チャプター11(破産保護)が現状において会社と株主にとって最善の選択肢だと判断した」と明かした。
ニコラは、全盛期の2020年に時価総額が300億ドル(約4兆5,533億820万円)に達し、当時フォードの時価総額を上回った。また、ゼネラルモーターズ(GM)から20億ドル(約3,035億5,388万円)の投資を受けることで和解し、特別目的買収会社(SPAC)との合併を通じて上場も果たした。当時の上場を主導したのが現CEOのガースキー氏だ。
しかし、創業者で当時CEOだったトレバー・ミルトン氏の強引な経営手法が仇となった。
ミルトン氏は2022年、通信詐欺と証券詐欺で有罪判決を受けた。裁判所は、ニコラの状況と電気・水素トラック技術について投資家を誤導したと判断した。
ニコラは、2022年に電気および水素燃料電池トラックの生産を開始したが、成果は芳しくなかった。昨年第3四半期までの生産台数はわずか600台にとどまった。
さらに、生産されたトラックのほとんどが欠陥によりリコールされ、数千万ドル規模の損失を被った。
ニコラの株価は、SPACを通じて上場した2020年6月に80ドル(約1万2,142円)近くまで上昇し、史上最高値を記録した後、下落の一途をたどっている。
昨年には30株を1株に併合する株式併合を実施し、昨年12月以降は2ドル(約304円)を超えられない状況が続いていた。
ニコラは19日の破産保護申請後、取引終了約30分前に株価が0.3009ドル(約46円)(39.2871%)急落し、0.465ドル(約71円)まで下落した。