3日夜10時20分、尹錫悦大統領が非常戒厳令を宣言し、その後、国会が非常戒厳令解除を可決したことを受け、金融界も緊急態勢に突入した。韓国の5大金融持株会社と5大都市銀行は、持株会社会長と銀行頭取が主導する形で、4日午前0時から緊急会議を開催し、非常戒厳令が金融市場に与える影響を精査し、リスク管理対策を協議した。
同日未明にはウォン安が急速に進行し、1ドル当たりのウォン相場が16年ぶりに最高値である1440ウォン(約158円)を突破する事態に至った。国会が戒厳令解除を決定したことで一時的に安定を取り戻したものの、依然として為替変動リスクは高い状態が続いている。
この状況を受け、5大金融持株会社(KB・新韓・ハナ・ウリ・NH農協)と5大都市銀行は、持株会社会長と銀行頭取主導で4日午前7時から緊急会議を開き、状況の把握に努めた。
KB金融グループはヤン·ジョンヒ会長が主導して緊急役員会議を開催。金融市場全般の変動性を点検し、為替リスクへの対応策を検討した。ヤン会長は特に、顧客資産のリスク管理を強化し、非常戒厳令宣言の余波で不安を抱く顧客とのコミュニケーションを拡充するよう指示した。
また、株主や従業員などステークホルダーとのコミュニケーションを通じて市場の安定化を支援し、金融取引分析を通じて流動性リスクに先手を打って対応することを決定した。さらに、利用者集中によるサーバー過負荷に備え、KB金融グループ傘下各社のアプリケーションを事前に点検し、セキュリティ面でもリアルタイムモニタリングを強化することを決定した。
新韓金融グループもチン・オクトン会長が午前7時にグループ危機管理委員会を主導。これに先立ち、午前0時から銀行を含むリテール関連6社で自主点検の会議を実施した。
チン会長は会議で、内部統制の強化と市場状況への対応のため、危機管理能力を集中するよう指示した。また、外貨流動性と市場流動性の供給など、市場安定化に積極的に協力することを決定した。戒厳令は解除されたものの、市場の不確実性が高まっているため、適時対応が可能となるよう綿密なモニタリングも要請した。
ハナ金融グループではハム・ヨンジュ会長が午前7時から緊急役員会議を招集。為替レートおよび流動性の変動に関するリスク点検、顧客と従業員の不安と動揺の管理、ITセキュリティの維持点検などを指示した。
ウリ金融グループではイム·ジョンリョン会長が午前7時30分から本社で緊急役員会議を開催。ウリ銀行もチョ·ビョンギュ頭取が役員会議を開催した。チョ頭取は行員にメッセージを送り、「現金需要が通常より増加する可能性があるため、各支店の資金流動性管理をより徹底し、混乱した状況を利用した振り込み詐欺などの金融犯罪や事故への警戒を強化してほしい」と重ねて要請した。
NH農協金融グループではイ·ソクジュン会長とイ·ソクヨン頭取が会議を開き、顧客対応と市場モニタリングの徹底、内部統制の一層の強化を指示した。