第47代アメリカ次期大統領のドナルド・トランプ氏が電気自動車の購入を促進するため、連邦政府による税額控除の廃止を公約に掲げる中、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏がこれに反対の姿勢を示した。ニューサム知事は、トランプ政権が税額控除を撤廃しても、カリフォルニア州としてクリーンな空気を守り、環境に配慮した雇用を創出する意志を明確にした。
現地時間の25日、民主党に所属するニューサム知事は声明を発表し、トランプ氏が大統領に就任した場合に連邦レベルでのEV税額控除が廃止されたとしても、カリフォルニア州独自で環境配慮型車両の購入者への還付制度を再導入する考えを示した。ニューサム知事は、トランプ氏が当選後に保守的な政策の押し付けを阻止するため、民主党の中でもいち早く政治的対抗姿勢を明確にした知事として注目されている。
ニューヨークタイムズ(NYT)は、カリフォルニア州当局が環境政策や移民政策を巡ってトランプ政権2期目との長期的な対立を見据えている中で、ニューサム知事の今回の提案に焦点を当てた。
この日の声明でニューサム知事は「我々は環境に優しい交通の未来を諦めない」とし、「汚染を誘発しない車両の運転をより手頃な価格にする」と強調した。
バイデン政権下で制定されたインフレ抑制法(IRA)に基づき、最大7500ドル(約109万円)のEV税額控除が現在提供されているが、トランプ政権下でその制度が廃止される可能性が高い中で、カリフォルニア州は独自の支援を続ける意向を示している。
カリフォルニア州は電気自動車の普及を牽引しており、全米でEV保有台数が最も多い上位5都市すべてが同州内に位置している。同州は2035年までに、新車販売する全ての乗用車と小型トラックを無公害車両とすることを義務付けた。
一方で、ニューヨークタイムズは、還付制度の再導入には州議会の承認が必要であり、知事だけの決定では実現できないと指摘した。
カリフォルニア州は2010年から2023年まで無公害車購入者向けの還付制度を運用しており、電気自動車1台当たり最大7500ドル(約109万円)を支援してきた。同州の発表によると、総額14億9000万ドル(約2165億円)の予算を投じて59万4000台の電気自動車の購入を支援し、その結果、温室効果ガスを390万トン、微小粒子状物質(PM)195トンを削減した成果を上げたとしている。