ヨーロッパ連合(EU)は、マイクロソフト(MS)のビデオ会議アプリの押し売りが独占禁止法違反に該当するとの暫定結論を出した。
EUは前日、アップルを対象にアップルがEUの技術企業規制法「デジタルマーケット法」(DMA)を違反したという調査結果を通知しており、米ビッグテック企業に対する厳しい規制が続いている。
現地時間の25日、EU執行委員会は市場での支配的地位にあるMSが、2019年4月からビデオ会議アプリのTeamsを自社のサービス型ソフトウェア(SaaS)アプリと結びつけて販売し、競争を制限したと判断した。EU執行委員会は、このような予備調査結果を含む審査報告書をMSに送付した。
EUのこのような暫定結論は5年ぶりであり、2019年にはメッセージングプラットフォームのSlackが、MSのTeamsの押し売りにより競争が制限されるとEUに報告した。Slackは2021年、クラウドベースの顧客管理ソフトウェア提供企業であるSalesforceに買収された。
EU執行委員会は、昨年7月に執行委員会が正式に活動を開始した後、MSが一部の製品群ではTeamsを含まないまま供給するなど、配布方法を変更したが、EU執行委員会の懸念を解消するにはまだ不十分だと指摘した。
EU執行委員会は、「競争の制限を回復させるためには、MSの追加的な変更措置が必要だ」と指示した。
先立って、MSは昨年4月に執行委員会の調査に対応し、Teamsを全世界で分離販売すると発表したが、EU執行委員会はMSのこの措置では不十分だと判断した。
MSのTeamsビデオアプリのユーザー数は、コロナ禍を経て大幅に増加した。運用初年度であった2017年に約200万人だったMS Teamsビデオアプリの日常的なユーザー数は、昨年には3億人まで増加した。
EU執行委員会の審査報告書は、EU独占禁止法違反調査の公式手続きの一部だ。EU執行委員会がこれを発行するのは、予備調査結果の是正措置が不十分と判断し、調査を続けるという意味になる。
審査報告書が発行されるとMSは反論を提出したり、追加の是正措置等を含む回答書を提出しなければならない。執行委員会は、MSの回答書と自身の調査結果等を総合的に検討し、罰金を含む制裁の適用について最終的に決定する。
もしMSがEU独占禁止法を違反したとの疑いが認められた場合、全世界の年間売上高の最大10%に相当する罰金を支払う可能性がある。MSは同月初旬、審査報告書が発行されるとの見通しが出た際、追加の是正措置を準備し、執行委員会と協議する意向を示した。
MSはこの日、声明を発表し、「Teamsを(サービス型ソフトウェアアプリと)分離し、相互運用性(他のプログラムとも共に使用できる)措置を講じた」との立場を明らかにした。ブラッド・スミスMS副会長は、「EU執行委員会の追加的な懸念事項を解決するための方法を見つけるために努力する」と述べた。
一方、反独占法違反の疑いが問題となったゲーム企業アクティビジョン・ブリザードの買収に関して、MSは反独占の懸念を解消するための措置を提案し、昨年EUから承認を得ている。