
「映画は私そのものだ。単なる仕事ではなく、自分を表現する手段であり、人生そのものだ」
ハリウッドのトップスター兼プロデューサーであるトム・クルーズ(63歳)が、30年にわたって続く映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの8作目となる映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の公開に向け韓国を訪れた。外国人俳優として最多となる12回目の来韓だ。クルーズは今月8日、ソウル・松坡(ソンパ)区のロッテシネマワールドタワーで開かれた記者会見で、自身の代表作のハイライトを披露しながら、映画への深い愛着を示した。
30年で8作目の『ミッション:インポッシブル』
映画『ミッション:インポッシブル』シリーズは、クルーズが幼少期に楽しんだTVシリーズをスパイアクションスリラーとして再構築した作品で、1996年に自ら版権を取得して製作した初の映画でもある。不可能なミッションに挑む主人公「イーサン・ハント」は、義理と犠牲、チームワークを重んじる人物で、クルーズの映画人生が投影されたキャラクターだ。
クルーズは「4歳の頃から世界中を旅しながら映画を作ることを夢見ていた」と振り返り、「現場でどんな役を演じても、衣装、カメラ、舞台デザイン、製作など、すべてを知りたくて学んだ。この仕事が自分の人生になると思っていた」と語った。
「週7日働いている」と明かした彼は、映画が終わるたびに「これ以上できないだろうか」と自問するという。「『次のレベル』に行くことが目標だった。目標達成に必要なすべての段階をリストアップし、実行した。映画作りを今後も続ける。終わりはない」と、尽きることのない情熱を示した。
映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は2023年公開の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の続編であり完結編だ。全世界の情報を制御できる武器の出現により人類全体が脅威にさらされる中、重大な責任を背負ったイーサン・ハントとIMFチームが不可能なミッションに挑む物語である。ハリウッド史上最大規模となる約4億ドル(約589億9,183万2,700円)が投じられた大作だ。アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、北極を巡って撮影され、原子力空母やジェット機、潜水艦まで登場する。上映時間は170分に及ぶ。
クルーズは今回も映画内の高難度アクションをスタントマンなしで自ら演じた。
「多くの人が怖くないのかと聞くが、私も怖い。でも大丈夫だ。怖いが恐れてはいない。プレッシャーを感じること自体が特権だと思う。選んだからには責任を持つ。私は挑戦が大好きだ。この作品はこのフランチャイズの頂点だ」
CGなしのアクション「本当に飛んで潜った」
映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』でのクルーズのスタント演技は驚異を超えて尊敬の念を抱かせる。特に今回は初の水中撮影にも挑戦した。素手で海の真ん中に飛び込み、約15分間これまで見たことのない潜水アクションを披露する。
2,438mの高空で時速225㎞の風を受けながら飛行機にぶら下がり、さらには翼の上を歩く。ノルウェー最北端のスヴァールバル諸島では、氷点下40度の寒さに耐えてロケ撮影を敢行し、壮大な映像美を生み出した。
2015年からシリーズを手掛けるクリストファー・マッカリー監督は「水中撮影と北極のシーンは挑戦そのものだった」と語り、「2年半かけて潜水艦を製作し、2年かけて空中シーンを撮影した」と明かした。さらに「撮影前にシミュレーションを行っても、実際の現場では予期せぬ事態が起き、やり直すことも多かった」と振り返った。
共演者たちも過酷な現場を耐え抜いた。俳優サイモン・ペッグは「お互いに凍傷になっていないか確認し合わなければならなかった」と打ち明けた。
映画の後半約20分に及ぶ空中アクションシーンで1940年代の複葉機を自ら操縦したクルーズは「飛行機の翼にぶら下がると視界が歪み、呼吸も困難になる」と語り、「CGなしで本当に撮影した」と振り返った。「翼の上に立つのは想像以上に恐ろしかった」とし、「機体の選択から飛行速度、風の強さまで、すべてを計算しなければならなかった。本当に怖かったが、同時に子供の頃の夢が叶って本当に嬉しかった」と相反する感情を吐露した。
クルーズの共演者たちは口を揃えて「このシリーズはもはや単なるアクション映画ではない」とし、「一人の人間が身体で示す真摯さの記録だ」と評した。
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は今月14日に第78回カンヌ国際映画祭の非コンペティション部門に招待され、世界初公開される。このシリーズ作品がカンヌ国際映画祭に招待されるのは今回が初めてだ。韓国での公開は今月17日、アメリカでは今月23日の公開が予定されている。
当初この映画はシリーズの最終作とされていたが、クルーズは「最後なのか」という質問に明確な回答を避け、「観客が楽しめることが最も重要だ」と答えた。
「私は若くして成功した。ある制作会社から『もう全てを成し遂げたのではないか、これからどこへ向かうのか』と尋ねられた時、『今、ウォーミングアップを終えたところだ』と答えた。映画作りを通じて学んだことを次の作品に活かし続けてきたし、これからもそうしていく。もう一度言おう。今、ウォーミングアップを終えたところだ」