25日に予定されていた歌手イ・スンファンの慶尚北道亀尾市公演の会場使用が市当局によって取り消されたことに対し、「今回の公演会場使用の取り消し自体が市民の分断を招いた」との指摘が出た。
亀尾市議会のキム・ジェウ文化環境委員長は24日、MBCラジオ「キム・ジョンベの視線集中」のインタビューで、亀尾市が物理的衝突を防ぐためにイ・スンファンのコンサート会場使用を取り消したことについて、「ロマンと文化のある都市を目指して多額の予算を投じてきた亀尾市が、一瞬にして崩壊するのを感じた」と述べた。
キム委員長は「光化門では数万、数十万の保守派と進歩派が同じ場所で距離を置いてほぼ毎週集会を開いているが、物理的衝突による大事故は起きていない。キム・ジャンホ市長はこのような問題が予想されるなら、市民の安全のための事前に対策を講じることを優先すべきではないか」とし、「むしろ今回の公演会場使用の取り消し自体が市民の分断を招いたと見ている」と指摘した。
これに先立ち、市長は23日に亀尾市庁の大会議室、25日に亀尾市文化芸術会館で開催予定だったイ・スンファンのコンサートを中止するという内容の「緊急声明」を発表した。
亀尾市は「観客と保守右翼団体との間で物理的衝突が懸念される状況で、安全上の理由から、やむを得ずコンサートを中止する方向で結論を出した」と明らかにした。
その後、イ・スンファンは自身のSNSを通じて「亀尾市公演中止の報道以降、複数の場所から公演誘致の問い合わせが来ている。これにより3月末で終了する予定だったツアー内容を変更し、7月まで『ヘブン(HEAVEN)』ツアーを続行する。亀尾市の観客の皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいだが、近隣の会場で必ずお会いできることを願っている」と伝えた。
キム委員長は、亀尾市が文化芸術会館運営条例第9条を会場使用取り消しの理由として挙げたことについて、「条例第9条1項6号には『その他市長が公益上、必要と認める場合』とあるが、公益とは社会全体の利益を指す。会場使用の取り消しがかえって社会全体の利益に反すると見られるため、この取り消しは明らかに条例違反だと考える」と強調した。
さらに「保守団体が12月19日と20日に集会と記者会見を行い、10〜20人程度の会員が会場使用取り消しを求める抗議集会を開いた」とし、「その内容を要約すれば、会場使用取り消しを求める大規模な集会を開くという脅迫的なものだった。これまで亀尾市では保守団体の集会が数え切れないほど行われてきたが、このような安全上の問題は一度も起きていない」と付け加えた。
また、「政治的扇動を自制する誓約を求めたが、イ・スンファン側が拒否した」という内容について、彼は「政治的扇動に関する部分はイ・スンファンが公演中に個人の意思を表現することであり、公演前にそれを強要すること自体が問題だと言える。仮に公演中に政治的扇動があれば、その時点で会場使用許可を取り消し、公演を中止することができるにもかかわらず、事前にそれを強要したことは表現の自由を抑圧したと見なせる」と述べた。
また、今回の公演中止による違約金問題については、「現時点では違約金に関する問題は公演企画会社のハヌルエンターテインメントが法的処置を取っていると聞いている。そして、亀尾市役所のホームページには数百件の抗議の書き込みが寄せられており、チケット購入者たちが補償を求めている状況だ」と語った。