夏休みをヨーロッパで過ごすなら、「蚊よけグッズ」を持参した方が良いだろう。
主に東南アジアに生息し、デング熱やジカウイルスを拡散させる「ヒトスジシマカ」(アジアンタイガーモスキート)がヨーロッパの各国に広がり、現地のデング熱の発症例が増加している。デング熱はワクチンや治療薬がないため、夏休みの旅行を計画している人は細心の注意が必要だ。
特に、来月26日から8月11日まで開催されるパリオリンピックがデング熱の世界的な拡散のきっかけになる可能性があるとの懸念も出ている。
17日、英国のBBC、米国のCNNなどの海外メディアは、デング熱の発症例がヨーロッパ全域で出ているため、これに対する注意が必要だと報じた。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、熱帯地方に限定されていたデング熱の発症例が、昨年、欧州連合(EU)と欧州経済領域(EEA)で合計130件報告され、前年に比べほぼ倍増したという。
ヒトスジシマカが発見されたヨーロッパの国々は、フランス、スペイン、ギリシャ、オーストリア、ブルガリア、クロアチア、ドイツ、ハンガリー、イタリア、マルタ、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、ベルギー、キプロス、チェコ、オランダ、スロバキアなど、少なくとも18カ国にのぼる。
来月、夏季オリンピックが開催されるフランスのパリ北部でもヒトスジシマカが捕獲されたことが報告されている。
フランスは、オリンピック期間中200以上の国から1000万人以上の選手、観客、関係者、観光客がパリに集まると予想している。
ECDCは、デング熱を媒介するヒトスジシマカ(外縞蚊)がパリの都市環境に完全に適応したと報告している。
デング熱の患者のほとんどは無症状である。デング熱ウイルスに感染すると、3〜14日の潜伏期間後に発熱、発疹、頭痛、寒気、筋肉痛などの症状が現れる。通常は約1週間で改善するが、重症の場合、死亡率は20%にも達する。
パリオリンピックが開催される前やオリンピック期間中に感染した人々は、自分がウイルスを持っていることを知らない可能性がある。したがって、デング熱に感染したままそれぞれの国に帰国し、潜伏期間を経て病気を広めてしまう可能性もある。
デング熱にはまだ完全な予防ワクチンや治療薬がないため、感染しないよう最初から予防することが重要だ。
ECDCは、蚊が繁殖できる庭やバルコニーの水たまりを取り除き、窓やドアに蚊帳や蚊よけを使用することを勧めている。