
昨年12月、ユネスコ世界遺産である慶尚北道(キョンサンプクト)安東(アンドン)の屏山書院で発生した釘打ち事件を受け、政府は文化財の損傷を防ぐための関連指針を策定した。
今後、国宝、宝物、史跡など国指定文化財を背景に映画やドラマを撮影する場合、現場に「安全要員」を配置し、撮影許可申請時には文化財を損傷しないよう努める誓約書も提出が必要となる。
国家遺産庁は、この内容を含む「国指定文化財撮影許可標準指針(ガイドライン)」を策定し、各地方自治体に配布したと20日に発表した。この指針は、ユネスコ世界遺産である屏山書院と晩対楼がドラマ撮影過程で損傷を受けた事件を契機に策定された。
KBSは昨年12月、ドラマ『主役の初体験、私が奪っちゃいました』の撮影過程で小道具を設置するため、晩対楼などに釘を打ち込んだ事実が明らかになり、物議を醸した。
これを受け、国家遺産庁は「今後、同様の事例が発生しないよう、文化財内での撮影行為の許可に関する注意事項などを共有するためにガイドラインを策定した」と説明した。
まず、撮影日の15日前までに特別自治市長、特別自治道知事、市長・郡守・区庁長などは自治体長に撮影許可申請書、計画書、誓約書を提出しなければならない。
撮影計画書には、撮影対象、場所、目的、詳細スケジュールに基づく撮影内容、文化財の損傷防止対策、持ち込む撮影機材のリストなどを記載する必要がある。
特に映画やドラマなどの商業的撮影や撮影人数が10名以上の場合は、文化財の損傷を防ぐため管理・監督を専任する安全要員を必ず配置しなければならない。要員名簿は撮影前に提出が必要だ。
安全要員の資格は、建築、造園、歴史、考古学などの文化財専攻者または該当自治体所属の文化財解説員とする。
撮影許可の申請時に提出する誓約書には「撮影に伴う文化財の損傷、施設の損傷、安全事故、その他すべての事項について民事・刑事上の責任を負うことを誓約する」との内容が含まれる。
また、撮影現場で遵守すべき具体的な事項も指針として明記された。
論争となった釘打ちに関しては「文化財内の木造建築物の柱などの木材部材に釘を打つ行為や、基壇及び石積みへの金物(釘など)の設置行為を禁止する」という内容が含まれている。
タバコ、ライター、ガスボンベなど火災や爆発の危険がある物品は「持ち込み禁止」と規定された。これらを持ち込む場合は別途許可が必要となる。ただし、この指針はガイドライン的性格であるため、法的拘束力はない。
国家遺産庁の関係者は「法的拘束力はないが、撮影許可を出す際の参考となる標準手続きを作成した」とし、「事前教育や許可事項の案内時に資料として活用する計画だ」と述べた。