アメリカを始めとする世界主要国は尹錫悦大統領の戒厳令布告に当惑を示したが、6時間で解除されたことに安堵した。
特に同盟国は、韓国と軍事・安全保障だけではなく経済分野でも密接な関係を築いているため、韓国内の政治的不安定と不確実性の高まりが自国や世界に及ぼす影響を重大視し、事態を注視している。
3日(現地時間)、アメリカのホワイトハウスは「尹錫悦大統領が韓国国会の表決を尊重し、戒厳令布告を撤回したことに安堵している」と発表した。アメリカ国家安全保障会議(NSC)の報道官はブリーフィングで「民主主義は日米同盟の根幹だ」と強調した。また、ホワイトハウスは尹大統領が戒厳令を布告した際、アメリカ政府への事前通告がなかったことに深刻な懸念を表明した。アメリカの防総省も戒厳令布告について事前通告を受けておらず、在韓米軍の態勢に変更はないと明らかにした。国防総省報道官のパトリック・ライダー氏は、「在韓米軍の態勢変更や北朝鮮軍の動向について状況を注視している」と述べた。在韓米軍司令部のウェブサイトによると、警戒レベルは3段階の「軍保護環境ブラボー」が発令されており、テロ活動の脅威が増大している可能性が示唆されている。
ワシントン・タイムズは、今回の戒厳令布告を尹大統領と軍がバイデン大統領の退任を控えた「権力の空白期」を利用した行為と分析。アメリカ政府はこうした政治的混乱を予想できず、バイデン政権が不意を突かれたと指摘した。また、アメリカ政府が米韓同盟の今後の行方を把握しようと躍起になっていると報じた。大統領として最後の外遊に出たバイデン大統領は、アンゴラで韓国情勢の報告を受けたという。
ワシントンのシンクタンク「民主主義防衛財団」(FDD)のマーク・モンゴメリー氏は、尹大統領の戒厳令布告が韓国の安全保障上の危機ではなく自身の政治的問題に起因すると分析。国会が戒厳令解除の決議案を可決したことは「民主主義の大勝利」だと評した。
来年1月に政権交代を控えるアメリカ政界でも、今回の韓国の事態が注目されている。
次期国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)は、アメリカの声(VOA)とのインタビューで、今回の戒厳令布告は韓国の内政問題だが、韓国が米国の緊密な同盟国であることを強調し、今後も注視すると述べた。先月の上院選で韓国系として初めて上院議員に当選した民主党のアンディ・キム下院議員(ニュージャージー州選出)は声明を発表し、戒厳令布告は国民統治の根本的基盤を損なうものであり、「国民が安全と安定を享受すべき時期に韓国の脆弱性を著しく高めた」と批判した。
一方、欧州連合(EU)報道官は韓国メディアに「韓国の状況を注視している」と述べた。イギリス政府報道官も「韓国情勢を慎重にモニタリングしている」とし、「イギリス国民には政府の渡航勧告を確認し、現地当局の助言に従うよう求める」とAFP通信が伝えた。
ドイツ外務省はX(旧ツイッター)で「韓国の状況に深刻な懸念を抱いて注視している」とし、「民主主義は勝利しなければならない」と投稿した。ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は国営インテルファクス通信に「韓国の戒厳令布告後の状況が懸念され、我々はこれを注視している」と語った。