
EU(欧州連合)は30日、停戦提案を拒否し続けるロシアに対し追加制裁の実施を決定した。
またEUは、米国に対して引き続き和平交渉への関与を求めている。
20日(現地時間)のユーロニュースなどによると、EUはロシアに無条件停戦の受け入れを迫るため、米国とは別に独自の制裁を進める方針を固めたという。
ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は「今回の制裁が最も強力なものになる」と述べ、「ロシアに停戦を迫る時が来た」と強調した。
今回の制裁は通算18回目となるが、加盟国の中ではハンガリーが反対している。またロシア産原油の価格上限引き下げには米国の協力が不可欠で、実際に発動できるかどうかは不透明だとユーロニュースは伝えている。
カヤ・カラスEU外交委員も「加盟国の全会一致は容易ではないと」しつつ、「他に選択肢はない」として推進する姿勢を示した。
さらにカラス氏は、米国にもロシアへの圧力強化を求めた。
19日、ドナルド・トランプ米大統領とウラジーミル・プーチン露大統領は、約2時間にわたり電話会談を行った。
会談後、トランプ大統領は「ロシアとウクライナがただちに停戦・終戦に向けた交渉を開始すべきであり、停戦条件は両国のみが協議すべきだ」と発言した。
プーチン大統領は「一定期間の停戦に向け、ウクライナと覚書を協議中であり、適切な合意を通じて停戦は可能だ」と述べた。
しかしユーロニュースは、「プーチン大統領が即時かつ無条件の停戦を受け入れておらず、時間稼ぎをしている」と指摘している。
今回の会談を受け、トランプ大統領は「前進に期待する」としつつも、ロシアに対する新たな制裁は科さない考えを示し、以前よりも柔軟な姿勢を見せている。
しかしフリードリヒ・メルツ独党首は、「米露首脳の電話会談後にEUはトランプ政権と対露制裁の強化で合意した」と強調し、米国とEUの間に制裁方針の隔たりがあることを示唆した。
こうした中、マルコ・ルビオ米国務長官は「和平交渉が進展しない場合、米国はロシアへの追加制裁を実施し、ウクライナへの軍事支援は減らさない」と表明した。
ワシントンで開かれた上院外交委員会に出席したルビオ長官は、「ロシアは和平交渉に関心がなく、戦争の継続を望んでいる」として、最終的には強力な制裁に踏み切る必要があるとの見解を示した。
米共和党のリンジー・グラム上院議員は、ロシア産原油・ガスを輸入する国の製品に対し500%の関税を課すという制裁法案を推進している。
ルビオ長官はさらに、「米国製武器は今後もウクライナに供与される」としながらも、「戦争は交渉によってのみ終結できる」と述べた。そして米国はロシアとウクライナが交渉の席に着くようあらゆる努力してきたと強調した。
フィナンシャル・タイムズ(FT)は、欧州各国がトランプ政権に対し、「ウクライナ和平交渉から手を引かないよう求めている」と報じている。
実際、プーチン大統領との電話会談後、トランプ大統領がウクライナとロシアに任せる方針を示唆したことに懸念を強めている。
ウクライナ政府の高官は「トランプは交渉から手を引きたがっていることを明確に示した」と述べ、欧州の同盟国とともに米国が交渉に残るべきだと主張し、「停戦確保に向けた共通認識を見いだす必要がある」と強調した。