ドナルド・トランプ大統領は21日の就任式で、グリーンランドやカナダについての直接的言及がなかった。これは、パナマ運河の管理権確保への意欲を繰り返し表明したこととは対照的である。
しかし、トランプ大統領は就任演説において、パナマ運河返還を推進する立場を改めて確認。米国の西部開拓の歴史などに触れながら「米国は領土を拡張する」と述べた。
また、米国の領土拡大が神から与えられた運命であるという「マニフェスト・デスティニー」(Manifest Destiny・明白な使命)という表現も用いた。これにより、第2期政権の領土拡張主義的な姿勢も再確認された。就任後、グリーンランドを巡る両国の対立が現実化するとの見方も出ている。
トランプ大統領は就任前から、パナマ運河はもとより、カナダやデンマーク自治領のグリーンランドを米国に編入すべきだと主張し、一部から「新植民地主義」との批判を受けていた。
デンマークのメテ・フレデリクセン首相は現地時間20日、Facebookを通じてトランプ大統領の就任演説に関し、「彼が就任演説で何を言おうとも、欧州は新たな現実に適応せざるを得ないだろう」と指摘した。また、デンマークの最重要同盟国である米国との継続的な協力の必要性を強調しつつ、現状を「賢明に」乗り越えていく姿勢を示した。