米ジョー・バイデン大統領が民主党の大統領候補の座から降りる可能性が浮上している。
バイデン大統領は、側近のスタッフに対し大統領候補の辞退を示唆し、後任として有力視されているカマラ・ハリス副大統領はバイデン大統領に会うことになったという。
過去にハリス副大統領を支援していた人々は、バイデンの候補辞退後の戦略を立てるために動き始めた。
世論調査ではバイデン大統領がより有力な選択肢として挙げられている。
候補辞退の検討
現地時間の3日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、バイデン大統領は、自身が大統領任期4年間を続けることが可能であることを有権者に証明できなければ、大統領候補の座を続けることが困難になる可能性があると語った。
先月27日、ドナルド・トランプ前大統領との討論での敗北した後、候補辞退の世論が高まる中でも「完走」を誓った姿とは異なる。
彼の側近は、「バイデン大統領がこのような事態を一度や二度また経験すれば、今とは全く状況が変わってくるということをよく理解している」と述べた。しかし、ホワイトハウスはNYTの報道を「明らかな嘘だ」と反論した。
一方で、CNNも同日、バイデン大統領が自身の困難な状況について側近のもう一人に似たような話をしていたと報じた。この側近は、バイデン大統領も現状を正確に把握していると述べた。
今年81歳と高齢なバイデン大統領は、同じく高齢の78歳のトランプ前大統領との討論で攻撃を防ぐことができず、候補辞退の圧力を受けている。
ハリスの支持者たち、戦略を立てる
バイデン大統領が候補から辞退した場合、次の民主党の大統領候補として有力視されているハリス副大統領の支持者たちは、バイデン大統領の候補辞退に備え、戦略を立て始めている。
CNBCは、情報筋を引用して、ハリス副大統領の支持者たちの間での電話やテキストメッセージを通じてこのような議論が始まっていることを報道した。
彼らは2020年の民主党の大統領候補選挙でハリス副大統領に政治資金を提供していた人物だ。彼らが議論しているテーマの中には、現在バイデンチームが担当しているバイデン・ハリス選挙キャンペーンの資金管理を、バイデン大統領が候補から引退した場合、ハリス副大統領が引き継ぐかどうかも含まれている。
ハリス副大統領はバイデン大統領が候補から退く場合、その座を引き継ぐ最有力候補だが、シカゴで開催される民主党全国委員会(DNC)で確定するかどうかはまだ明らかになっていない。
バイデン大統領は民主党の州知事たちに対し、自分が候補から辞退する場合、民主党の大統領候補を選びなおす約束をしたと伝えられている。
会談
ファイナンシャル・タイムズ(FT)によると、事態が急速に進展する中、バイデン大統領はこの日、ハリス副大統領や民主党の州知事たちと会談することになったという。
FTは、情報筋を引用して、この会談に先立ち、バイデン大統領はハキーム・ジェフリーズ下院民主党議長、チャック・シューマー上院民主党議長と電話で話したと報じた。
バイデン大統領はハリス副大統領とランチを共にし、夕方にはJ・B・プリツカーイリノイ州知事、ギャビン・ニューサムカリフォルニア州知事などと会う予定だとFTは伝えた。
また、ロイ・クーパー北カロライナ州知事とジョシュ・シャピロペンシルベニア州知事とはビデオ通話で話す予定だ。
有権者たちは「バイデンよりハリス」
世論調査では、バイデン、トランプの討論後、ハリス副大統領の選挙勝利の確率がバイデン大統領の確率を逆転し上回った。
3日公開されたCBSニュースの世論調査では、トランプ前大統領は全国的な支持率でバイデン大統領に対して2%ポイント優位だった。1ヵ月前の同じ調査では、バイデン大統領がトランプ前大統領より優位だった。
先日のCNNの世論調査では、バイデン大統領の支持率が史上最低水準に落ち込んだことが明らかになっている。また、トランプ前大統領との対決では、ハリス副大統領がバイデン大統領よりも民主党にとってより良い結果を出すことが示された。
ハリス氏は副大統領として存在感はなかったが、バイデン大統領が候補から退く可能性が浮上し、支持率が急上昇している。
リアルクリアポリティクスによれば、3日の賭け市場では、11月5日の大統領選挙でバイデン大統領よりハリス副大統領の勝利確率が高いと判断されているとのことだ。しかし、トランプ前大統領に勝つ確率に比べると、どちらも低かった。
トランプ前大統領との仮想対決の確率は、バイデン大統領がテレビ討論の前は30%を超えていたが、討論後には10%台前半に急落した。一方、ハリス副大統領は今月に入ってから確率が急上昇している。ただし、まだ10%台半ばを少し超える程度にとどまっている。
しかし、ハリス副大統領が民主党の大統領候補として確定すれば、当選確率が現在よりもはるかに大きく上がる可能性が高い。