早期発症大腸がん患者の死亡リスクを予測できる量子機械学習モデルが開発された。
韓国の延世(ヨンセ)大学医科大学の生命システム情報学教室のパク・ユラン教授チームは12日、早期発症大腸がん患者の臨床データを基に死亡リスクを予測する量子機械学習モデルが開発され、予測精度は90%に達すると発表した。
50歳未満で発生する大腸がんを指す「早期発症大腸がん」とは、若年大腸がんとも呼ばれる。
韓国の20〜40代の大腸がん発症率は人口10万人当たり12.9で、世界一である。早期発症大腸がんは他の年齢層で診断される大腸がんと比較してより攻撃的で、生存率が低い。そのため、病気を早期に発見し正確な予後予測を通じた治療が重要である。
パク教授の研究チームは、2008年から2020年の間、延世大学セブランス病院に来院した早期発症大腸がん患者1253名の治療データを基に、患者の病状に応じた死亡リスクを予測する量子機械学習モデルを開発した。
量子コンピューティング技術を活用した機械学習モデルの予測因子としては、年齢、性別といった患者情報データと病期、治療情報に関する臨床データなど合計93個の変数が適用された。
研究チームは、該当モデルの効果性を立証するため、最適な変数の数、標本の大きさ、結果変数の比率による精度を既存の機械学習モデルと比較分析することで検証を行った。
予測精度は「受信者操作特性曲線(AUROC)」の指標で分析した。AUROCは「ROC曲線の下の面積」であり、ある予後を予測するための特定の検査ツールの予測精度を示す方法である。
AIモデルの性能評価指標として主に使用され、通常、1に近いほど性能が優れており、0.8以上であれば高性能モデルと評価される。
分析の結果、既存の機械学習モデル(Conventional SVM)の予測精度は70%を記録したのに対し、量子機械学習モデルは早期発症の大腸がん患者の死亡リスク予測精度が90%を記録した。
また、研究チームは量子コンピューティングの堅牢性を検証するため、死亡と生存の比率を調整して性能検証を行った。その結果、既存の機械学習モデルは死亡率を不均衡に調整した際に予測性能が80%を示した。
一方、量子機械学習モデルの予測精度は死亡率が不均衡な状況でも88%の高い予測精度を維持し、量子機械学習モデルが死亡と生存の比率が不均衡な状況でも既存の機械学習モデルに比べて、より高い予測精度を維持することが確認された。
パク・ユラン教授は「この研究を通じて、早期発症の大腸がん患者の死亡リスクを正確に予測する量子機械学習モデルを構築できた」と述べ、「これを基に、今後も量子機械学習モデルを活用してさまざまな領域のヘルスケア分野に拡張が可能であり、期待している」と話した。
研究に参加したキム・ハンサン教授は「この研究は腫瘍分野で量子コンピュータ、医療人工知能などを活用したデジタルヘルスケアが組み込まれる一例であり、がんの診断、治療、生存者管理にデジタルヘルスケア技術を導入することで、今後がん診療現場の治療パラダイムを変えることができるだろう」と述べた。
この研究にはユ・ジェヨン博士、シム・ウソプ研究員と延世がん病院腫瘍内科のキム・ハンサン教授が参加した。