ロシアによるウクライナ侵攻を約2年間見届けてきた北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、本格的に財布の紐を解き始めた。今年、32カ国の加盟国のうち、半数以上が2006年に合意した防衛費の負担金をついに約束通り支出する予定だ。
米経済メディアCNBCによると、ストルテンベルグNATO事務総長は現地時間の17日、米ワシントンDCのホワイトハウスでバイデン米大統領との会談を行った。彼はバイデン大統領に対し、「ヨーロッパやカナダなどのNATO諸国は今年、防衛費を18%増やす予定で、これは数十年間で最大の増加となるだろう」と述べた。
続けて、「23カ国の加盟国は、今年、各国の国内総生産(GDP)の2%以上に相当する金額を防衛費に充てる予定だ」と強調した。彼は、「これは4年前と比べて2倍以上に増加し、ヨーロッパの同盟国やカナダが実際にNATO全体を守るための共有責任を果たしていることを示している」と説明した。
1949年に設立されたNATOは、1991年の旧ソ連の崩壊後、防衛費の支出を大幅に削減した。NATOによると、昨年NATOの防衛費支出は1兆3000億ドル(約205兆円)で、そのうち約68%にあたる8600億ドル(約136兆円)が米国の負担であった。
ドイツは2番目に多い681億ドル(約10兆円)を負担したが、米国の1/10にも満たなかった。NATO加盟国の閣僚たちは、2006年の合意で、全加盟国がGDPの2%に相当する金額をNATO防衛費負担金として支払うことに合意した。しかし、昨年の基準で2%の約束を守った国は、今年NATO加盟したスウェーデンを除く31カ国中11カ国に過ぎなかった。
ストルテンベルグ事務総長は2月の発表で、今年末の基準で2%の支出を守る国が18カ国になると見込んだ。彼は同時に、今年、NATOのヨーロッパ加盟国が支出する防衛費が合計3800億ドル(約60兆円)になると推定した。
米ドナルド・トランプ前大統領は、在任中にNATO加盟国に対して防衛費負担金の増額を求め、米国のNATO脱退まで言及していた。トランプの後を継いだバイデン大統領は、トランプほど過激な発言はしなかったものの、やはりヨーロッパ同盟国に対し防衛費の負担を求めてきた。
バイデン大統領はストルテンベルグ事務総長との会談で、「史上最も多くの同盟国がGDPの最低2%を防衛費に充てるというNATOの約束を守っている。その数は私が就任してから2倍以上に増えた」と述べた。
彼は、「私たちは一緒にヨーロッパでロシアの追加攻撃を抑制した。私たちはNATOの東側を強化し、私たちが全NATO領土を防衛していくことを明確にした」と強調した。
ストルテンベルグ事務総長は、バイデン大統領との会談直前にワシントンDCの米シンクタンク、ウィルソン・センターを訪れ、「ヨーロッパ諸国は数年前に比べて集団的な安全保障のためにより多くの仕事をしている」と主張した。
ストルテンベルグ事務総長は、防衛費の大部分が実際に米国で使われるという事実を米国が知ることが重要だと述べ、NATOは米国の安全だけでなく、雇用にも良い影響を与えていると話した。