NVIDIAのCEO、ジェン・スン・フアン氏(写真)が、サムスン電子の人工知能(AI)向けメモリーチップの承認プロセスを最大限迅速に進めていることを明らかにした。これにより、サムスン電子が製造する高帯域幅メモリ(HBM)のNVIDIAへの供給に注目が集まっている。サムスン電子がNVIDIAを足掛かりとしてAI半導体競争に本格参入できるかどうかが焦点となっている。
24日、海外メディアの報道によれば、フアンCEOは23日(現地時間)に香港科技大学の名誉博士号授与式の場で行われたブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「サムスン電子のAIメモリーチップ認証を可能な限り迅速に進めている」と語ったとのことだ。また、サムスン電子が提供する第5世代HBMであるHBM3Eの8層および12層の両方の納入を検討していることも明かした。
サムスン電子は先月31日に行われた第3四半期決算説明会で、「現在HBM3Eの8層および12層を量産・販売中であり、主要顧客の品質テストプロセスで重要な段階を完了し、大きな進展を遂げた」と説明。さらに、「第4四半期中に販売拡大が期待される」と述べている。
業界では、サムスン電子のHBM3Eが間もなくNVIDIAから最終承認を受け、本格的な供給が始まると期待が高まっている。現在、NVIDIAはAI市場の主要プレイヤーとして、SKハイニックスからHBMの大部分を調達している。SKハイニックスはHBM第4世代「HBM3」をほぼ独占的に供給し、昨年3月には業界で初めてHBM3Eの8層製品を納入した実績がある。
市場調査会社TrendForceによると、昨年のHBM市場シェアはSKハイニックスが53%、サムスン電子が38%、アメリカのマイクロンが9%を占めているとのことだ。
AI半導体技術競争において出遅れているとされるサムスン電子が、この分野で巻き返しを図るには、NVIDIAへのHBM供給が不可欠との見方が広がっている。そのため、同社は次世代HBM技術の開発に注力しており、専用の開発チームを新設するなど、HBM市場での主導権確保に向けた取り組みを強化している。
また、主要顧客の次世代GPUプロジェクトに対応するため、HBM3Eの改良版も準備中だ。サムスン電子は第3四半期決算説明会で、「既存のHBM3E製品は進行中のプロジェクト向けに供給を拡大し、改良版は新規プロジェクト向けに追加販売して需要対応の範囲を広げる」と発表。「来年上半期中に改良版の量産に向け、顧客とのスケジュール調整を進めている」としている。
さらに、第6世代のHBMであるHBM4の量産は来年下半期を目指して計画通り進行中であり、カスタムHBM製品の商業化に向け、ファウンドリ大手のTSMCとの協力の可能性も模索しているという。