アメリカ大統領選挙を控え、候補者たちは再び経済政策を掲げ、最後の票獲得に挑んでいる。ドナルド・トランプ前大統領率いる共和党は、民主党が政権を維持すれば経済的な「恐慌」が起こる可能性があると警告し、民主党政権下の半導体支援法の廃止に言及した。一方、民主党のカマラ・ハリス副大統領は現行の経済政策を支持し、韓国との協力関係を強調した。
■民主党が政権を維持すれば「大恐慌」…半導体法の見直しを示唆
ニューヨーク・タイムズ(NYT)などの現地メディアによると、トランプ氏は2日(現地時間)、激戦州のひとつノースカロライナ州を訪問した。彼はガストニアでの演説で、前日発表されたアメリカ労働省の雇用統計に触れ、10月の非農業部門の新規雇用者数が前月に比べ1万2000人増加したものの、約3年10か月ぶりの最小増加幅であることを指摘し、「言いたくはないが、憂鬱な数字だ」と現政権を批判した。さらに彼はハリス氏に対して「ビジョンもなく、アイデアもなく、解決策もない」とし、「彼女の話題は『ドナルド・トランプ』だけだ」と強調した。
その後、トランプ氏はバージニア州セーラムに移動し、「ハリスが勝てば1929年の大恐慌の再来が起きる」と主張した。一方、共和党陣営では、トランプ氏が論争を鎮静化させる間に別の論争が勃発した。5日の大統領選と同時に、上下院選挙を行う共和党のマイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州)は1日、大統領選で共和党が勝利し議会も掌握した場合、「半導体科学法(CSA)」を廃止するかという質問を受けた。彼は「我々はおそらくそうするだろう」と答えた。また、民主党のジョー・バイデン大統領は2022年8月に、半導体サプライチェーンの国産化を掲げてCSAに署名した。バイデン大統領はCSAに基づき、アメリカに投資する半導体企業に半導体生産補助金390億ドルと研究開発(R&D)支援金132億ドルなど、5年間で総額527億ドル(約7兆2,000億円)を支援することを決定した。韓国の半導体企業も補助金支給対象として選ばれた。トランプ氏は先月25日のインタビューでCSAを批判し、外国企業の工場誘致のために補助金を出すよりも、関税を課すべきだと主張した。
■バイデンの政策を支持するハリス氏、韓国との協力を強調
ハリス副大統領は2日、記者団に対してジョンソン議長のCSA関連の発言を非難し、「アメリカの製造業への投資継続が私の方針であり意向だ」と述べた。ジョンソン氏は問題発言の当日に声明を発表し、CSAが廃止対象ではないとして自身の発言を訂正した。
また同日、ハリス氏はトランプ氏と同様に激戦州を訪れ、経済政策に触れつつ、「トランプは国政よりも報復に執着している」と主張した。また、ジョージア州アトランタでの演説では「トランプ氏は不安定さを増し、報復と不満に囚われている」とし、「抑制されない権力を求める人物だ」と批判した。
さらに、ハリス氏は韓国メディアに「共に前進しよう」と題した寄稿文を送り、韓国系アメリカ人の支持を訴えるとともに、米韓同盟の重要性を再確認した。彼女は寄稿文で「多くの韓国移民が家族でスーパーマーケットやクリーニング店、レストランで働いている。今日、200万人を超える韓国系アメリカ人がアメリカ全土を豊かにしている」と強調した。