かつて「神の職場」と称された国民年金の投資専門家たちが、低い報酬と地方勤務を理由に次々と会社を去っている。国民年金の運用専門家たちの年収は、証券業界平均に対し25%程度しかないことが明らかになった。
“全州(チョンジュ)にある会社、少ない報酬”…世界3大年金 「色あせ」
10日、昨年の第3回基金運用委員会の議事録によると、2018~2023年の基金運用本部の退職者が退職理由として最も多く挙げた内容が「全州にあるため(38%)」だった。
以前、国民年金は2017年に全北(チョンブク)全州に本社を移転した。首都圏から遠いという点から、約1100兆ウォン(約128兆円)の資産規模を持つ世界3大年金でありながら、優秀な人材が次々と去っていくという指摘が絶えなかった。
退職理由として2番目に多かったのは「報酬が少ないため(35%)」だった。
基金運用本部の運用専門家たちの基本給は、市場平均に対して50%(2022年基準)にしかならないのが現実だ。基本給よりもボーナスの割合が大きい証券業界の特性上、ボーナスを含めると市場平均の25%まで下がる。
ボーナスの増加を試みるなどの対策が出ているが…「国民の感情的に難しい」
このような状況で、国民年金の悩みも深く、運用専門家の流出防止に苦慮している。
ソウル江南区(カンナム区)新沙洞(シンサドン )のビルに、基金運用本部の運用専門家たちのためのスマートワークセンターを昨年末から設け、勤務環境を改善した。
また、ボーナス制度も改善している。昨年開催された第4回基金運用委員会では、2008年に導入されたボーナス支給の最低要件を15年ぶりに廃止した。
既存の基金運用本部の運用専門家たちは、3年間の平均運用利益率が物価上昇率を上回る場合にのみボーナスを受け取ることができたが、この条項も撤廃した。国内株式に比べて低かった海外株式のボーナス評価比率も、グローバル投資トレンドに合わせて同等に調整した。
昨年、国民年金は設立以来最大の利益率14.14%を記録した。しかし、ボーナス支給率は基本給に対して39.9%で、昨年の数値(51.1%)から11.2%ポイント下がった。国民年金のボーナスは、ベンチマークに対する超過利益率を基に決定されるためだ。
しかし、一方では公共機関である国民年金が民間企業のように数十億ウォン(数億円)の年俸を得るのは、国民の感情的に難しいとの指摘もある。
そのため、保健福祉部と国民年金は、基金運用本部の運用専門家に対する合理的なボーナスの設定とともに、国民の受け入れ度を高める方策を長期的に考えている。