
北朝鮮は、米国、英国、オーストラリアの安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じてオーストラリアが米国の原子力潜水艦を導入しようとしていることに反発し、「米国を中心とする新たな核同盟が本格的に始動した」と批判した。
トランプ政権2期目の発足以降、北朝鮮は連日批判的なメッセージを発信しており、朝鮮中央通信は20日、オーストラリアの原子力潜水艦導入について「アジア太平洋地域で米国の核の棍棒は通用しない」と述べた上で、「不安定なアジア太平洋地域の政治軍事的環境をさらに悪化させる極めて危険な試みだ」と評した。
さらに、同通信は「我が国を含む地域の核保有国を覇権確立の障害とみなし、排除しようとする米国が、侵略的な軍事行動の標的をどこに定めるかは明白だ」とし、自国を標的にしていると主張した。
また、「米国はアジア太平洋地域に核の脅威をもたらす軍事行動が招く結果を熟考すべきだ」と警告した。米日韓の3カ国核同盟という脅威的な実体が存在する状況下で、「オーカス」というもう一つの核同盟が完全な体制を整えれば、米国はアジア太平洋地域の「敵」に対する核封じ込め網を多層的に構築することになると主張した。
一方、韓国国立外交院のバン・ギルジュ教授は、「オーカスは2021年に発足し、核兵器獲得プログラムではなく、またトランプ政権2期目にどれほど安定的に推進されるかが不透明なため、北朝鮮の批判は的外れだ」と指摘した。さらに、北朝鮮がオーカスを批判する背景について、「オーストラリアが原子力潜水艦の取得を進めることに北朝鮮が口を挟むのは、自国がインド太平洋地域の一員であることを明確にし、核保有国の地位を基に地域問題に深く関与しようとする狙いがある」と分析した。
また、北朝鮮の行動については、「自国の核プログラムをさらに強化するための前線拡大を狙ったものだ」と指摘された。過去、北朝鮮は自国の核保有を米国からの安全保障を確保するための防御的な最小抑止力だと説明してきたが、核兵器を数百個保有するにはその説明だけでは説得力に欠ける。そのため、オーカス同盟国のオーストラリアが核兵器搭載ではない原子力潜水艦を導入することを「核同盟」と位置付け、論理的飛躍を敢えて行うことで、自国の核戦略を最大抑止へと変更・推進する正当性を確保しようとしているという。
こうした北朝鮮の対外拡張的な行動は、地域の主導権競争で自国の役割を高め、権威主義陣営内で自国の地位を向上させようという意図があるとされる。バン教授は、地域を米国など西側が「インド太平洋」、中国など権威主義陣営が「アジア太平洋」と呼んでいると説明し、北朝鮮が「不安定なアジア太平洋地域の政治軍事的環境」と言及したことは、中国の用語に同調する姿勢を示すものだと指摘した。
さらに、北朝鮮の行動は、韓国が朝鮮半島にのみ注力していれば、外交的後退を招き、結果的に朝鮮半島での議題の主導権を失う可能性があることを示唆しており、慎重な対応が求められる。韓国は様々な課題に直面しながらも、同盟外交、友好国外交、類似立場国外交を継続的に展開する必要があると強調された。