読んでから買っても遅くはない。ただ問題は、政府出資機関や韓国銀行、さまざまな研究所から毎日数十件という報告書が発表されているということだ。それらすべてを読まなければならないのだろうか?
忙しい投資家のためのレポート解説シリーズ【読んでみて買おう】は火・木・土曜の朝6時、皆さんにお届けしている。前日の晩に、汝矣島で最も「ホット」だった話題を要約してお伝えする。見逃すと後悔する報告やPCに積み重ねておくべき報告、価値ある情報の解説記事を、今日からチェックしてみよう。
米国のトランプ新政府の関税政策への不安から為替が乱高下している。市場ではトランプ発の関税政策が韓国に波及した場合、ウォン・ドル為替が1,500ウォン台に突入する可能性があるという恐ろしい警告も出ている。
トランプ2.0時代の為替の方向性を探るためには、新政府の目標が何であるかを考える必要がある。代信証券の「ドーパミンが沸いてくるトランプ氏の動き」という報告は、トランプ大統領が就任初日に署名した「行政命令46件」の為替への影響を分析している。

■不法移民の排除を目指すトランプ氏…長期的にはドル安を引き起こす可能性も
まず「移民と国境政策の強化」という問題は主要な行政命令の一つだ。トランプ大統領は就任初日に南部の国境に対して非常事態を宣言し、不法移民の排除の意志を示した。先にバイデン政権の間には移民の流入が増加し、労働人口に占める移民の割合が大きくなっていた。この状況で移民が排除されると、労働供給の減少問題が生じ、賃金上昇につながる可能性があると予測されている。
人件費は米国の中央銀行である「連邦準備制度(Fed・連準)」が注目する「住宅費除外の核心物価(Supercore CPI)」において重要な要素だ。高い水準が維持されるほど、追加の金利引き下げが先延ばしされ、最終的にはドル高を支えることができるということになる。
労働人口が減少すれば、人工知能(AI)の普及も加速する可能性がある。この場合、特に初期費用が発生するため、物価上昇圧力が高まるという指摘がある。また、AIの普及が関連企業の投資につながれば、やはり強いドルが維持されることになる。
ただし、長期的には移民の減少がドル価値の下落を引き起こす可能性もあるとの意見も出ている。名目成長には生産性の改善よりも、最終的には人口と労働力が重要であるためだ。

■エネルギーおよび環境政策…最終的にはドル高の要因に
トランプ大統領はエネルギー非常事態を宣言し、石油およびガスの掘削を拡大する意志を示した。前任のバイデン政権の風力プロジェクトを中止し、電気自動車の義務化規定も廃止した。これにより、米国のエネルギーを世界に輸出し、価格を引き下げることに貢献するという構想だ。
この影響で原油価格が下落すればドル価値が下がる可能性がある。しかし、最近のグローバルな産油量の見通しが下方修正されているため、実際に原油価格の下落幅を拡大できるかは不透明だと分析している。
特にトランプ大統領の主な目的は「米国の覇権を確保すること」だ。米国のエネルギーの輸出が増えれば貿易赤字が縮小し、また別の成長の原動力となる可能性があるということになるのだ。最終的には長期的にドルを引き上げていく見通しだ。
■最も恐ろしい関税…米国内の製造業の成長に応じて変化
最近の為替は特に「関税」に最も敏感に反応している。トランプ大統領は関税を通じて自国の財に対する需要を拡大させ、貿易赤字を縮小することを目指している。関税問題が浮上するたびに、各関連国の通貨価値の下方圧力が高まることは避けられないと警告されている。特にメキシコの場合は、景気後退の可能性も浮上している。
ただし、代信証券のイ・ジュウォン研究員は前向きな面も言及している。トランプ氏がこれまで言及してきた関税をすべて課す可能性は低いという分析だ。関税が交渉手段であるという点が市場に確認されれば、ドル高に対するスピード調整の要因となる可能性があるのだ。
また、関税が米国の実質成長に寄与するかどうかという疑問も残る。報告によれば、最近の米国税財団などのいくつかの研究は、関税の課税により米国の長期成長率が鈍化する可能性があると予測している。これは、関税によって輸入物価が上昇すれば、最終的には実質成長率を損なう可能性があるからである。そのため、長期的に「関税」は米国内の製造業成長の速度に応じてドルを強くしたり、または弱くしたりすると判断されている。
■テレワーク廃止および週休二日制を強制…ドル高緩和へ
トランプ氏はこの他にも社会、教育などの問題に関する行政命令にも署名した。代表的なものとしては、政府効率部(DOGE)の設立とともに、年間最低2兆ドルの予算削減を推進する予定がある。行政内でのテレワークを廃止し、週5日勤務を強制、連邦全体の人員規模縮小に関する計画も提出するよう求めた。このようなトランプ政府の措置が労働需要の減速加速につながる場合は、連邦準備制度の金利引き下げを早める要因になるとの見通しだ。雇用指標や連邦準備制度のスタンスに変化が見られれば、ドル高を緩和することができるかもしれない。