ウクライナ戦争に投入された北朝鮮軍の死傷者数が数百人規模に上るとの見方が出ている。これまで北朝鮮軍は後方での警備任務を担っていたが、先週から最前線に投入されたという。
米AP通信は17日(現地時間)、匿名の米軍高官の話として、北朝鮮軍の死傷者が「数百人」に達していると伝えた。この関係者によると、北朝鮮軍はロシアのクルスク州国境地帯の最前線で戦闘に参加しているという。正確な死者数は明らかにされていないが、北朝鮮軍の戦闘経験不足が多数の死傷者を出す要因になっていると分析している。
同日、米国のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、ウクライナ第8特殊作戦連隊(COO)は、メッセージアプリのTelegram(テレグラム)に「特殊部隊、クルスク州地域で北朝鮮軍50名を殺害」と題した投稿を載せ、同地域で「北朝鮮軍を歓迎する行事を開いた」と述べた。過去3日間で北朝鮮軍50名を殺害し、47名に負傷を負わせたと主張している。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領もこの日、Telegramに動画を投稿し、「ロシアが北朝鮮兵士の身元を隠すため、戦死者の顔まで焼いている」と非難した。
北朝鮮は10月から本格的にロシアへの派兵を開始し、現在約1万〜1万2,000人を送り込んでいるとされる。米国防総省のサブリナ・シン副報道官は先月25日の発表で、北朝鮮軍の死傷者数を確認できないとしていた。今月9日には北朝鮮軍のクルスク州駐留を確認したものの、「戦闘への参加は確認していない」と述べていた。
ウクライナメディアのキーウ・インディペンデント(The Kyiv Independent)は5日、北朝鮮軍が駐屯地の警備任務を担っていると伝えた。北朝鮮軍がロシア軍の警備業務を分担することで、ロシア軍がより多くの自国兵力を最前線に配備できるようになったと分析している。
しかし、米国防総省のパット·ライダー報道官は16日の会見で「北朝鮮軍がクルスク州でロシア軍と共に戦闘に参加したと評価している」と述べ、「北朝鮮軍に死傷者が出ている兆候がある」と説明した。北朝鮮軍は先週から戦闘に投入されたとの見方を示した。同日、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官も会見で「ここ数日間、北朝鮮軍が戦場の第2線から最前線に移動し、積極的に戦闘作戦に参加するのを確認している」と述べ、死傷者が数十人に上るとの見方を示した。
一方、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は16日の記者会見で北朝鮮軍の死傷者について言及を避け、国防省に問い合わせるよう指示した。ロシア国防省もこの日、特段のコメントを発表していない。