2024年 11月 21日 (木曜日)
13 C
Tokyo

ケンタウルス座のオメガ星団で中間質量ブラックホールを発見!天文学に新たな道を開く

ハッブル宇宙望遠鏡で撮影しされたケンタウルス座オメガ星団。ドイツのマックスプランク協会、マクシミリアン・ヘーベル博士のチームが、この星団の中心に存在する太陽質量の少なくとも8200倍に達する中間質量ブラックホールを発見し、このブラックホールの周りで素早く動く7つの星を見つけた。/T. ミュラー提供

都心を離れて夜空を見上げると、数えきれないほどの星が見える。最近は梅雨のため都心では星を見ることが難しいが、もうすぐ夏休みシーズンがやってくるので、真夏の夜、星を見ながらリラックスするのはいかがだろう。

■星が寿命を終えて次の段階へ進むブラックホール

11日、ドイツのマックス・プランク協会は、初めてブラックホールが形成された後、超大質量ブラックホールになる前の中間段階であるブラックホールを見つけ、世界的な科学技術学術誌「ネイチャー(Nature)」に発表した。

マクシミリアン・ヘーベル博士のチームは、南半球の星座であるケンタウルス座にある球状星団「オメガ・ケンタウリ」の中心に中間質量ブラックホールが存在することを確認した。

このブラックホールは、太陽質量の少なくとも8200倍に達し、恒星質量ブラックホールと超大質量ブラックホールの間の「失われたリンク」を代表する。

彼らが見つけたブラックホールは、地球から1万8000光年離れたオメガ・ケンタウリ星団にある。これまでに天文学者たちが発見したブラックホールの中では最も近い方に属すると言われている。

マックス・プランク協会の天文学者たちは、このブラックホールの発見について「失われたリンク」を見つけたと説明した。

「失われたリンク」は、恒星質量ブラックホールと超大質量ブラックホールの間の中間質量ブラックホールを指す。中間質量ブラックホールは、銀河の進化過程で重要な役割を果たすと予想されていたが、これまでそのブラックホールを直接観察することは非常に難しかった。

■天文学的意義

オメガ・ケンタウリに中間質量ブラックホールが存在するという発見は、天文学的な意義が大きい。

これは、中間質量ブラックホールの存在を証明する重要な証拠であり、銀河の形成と進化に関する新たな知識を提供する。特にこの発見は、小さな銀河が大きな銀河と合体する過程でどのように進化するかを理解するための重要な手がかりを提供する。

今回の研究は、天文学者に中間質量ブラックホールを見つけるための重要なガイドラインを提供し、今後の研究方向を示す。

中間質量ブラックホールは、銀河の進化過程で重要な役割を果たすと予想されていたが、これまで直接観察することが難しかったため、理論的な予測に留まっていた。

しかし、オメガ・ケンタウリに中間質量ブラックホールが存在するという今回の発見は、この予測を実証的に裏付ける重要な証拠となる。

左の写真はハッブル宇宙望遠鏡で撮影したケンタウルス座オメガ星団の全体像。中央の写真はケンタウルス座オメガ星団を拡大したもので、右の写真はドイツのマックス・プランク協会、マクシミリアン・ヘーベル博士のチームが今回の研究で中間質量ブラックホールの位置を示した星団中心部/マクシミリアン・ヘーベル博士提供

■興味深い球状星団

オメガ・ケンタウリは、南半球で肉眼で見える巨大な球状星団で、約1000万個の星が集まっている。この星団は、小型の望遠鏡で見ると中心部に向かって星が密集した球状の集合体に見える。

これまで、オメガ・ケンタウリは天文学者の間で大きな関心を持たれ、多くの研究が行われてきた。しかし、最近の研究では、この星団が単なる球状星団ではなく、実はかつて小さな銀河の核だった可能性を示唆する。

■ブラックホールの存在確認

マクシミリアン・ヘーベル博士のチームは、オメガ・ケンタウリの中心にブラックホールが存在するという仮説を検証するために、長期間にわたってデータを収集・分析した。

特にヘーベル博士は、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された500枚以上の画像を分析し、星団内の星の動きを測定した。このデータは主にハッブル望遠鏡の機器校正のために撮影されたもので、科学的な研究のためのものではなかったが、繰り返し観測したおかげで、オメガ・ケンタウリの中心部を詳細に研究するための貴重な資料となった。

ヘーベル博士は140万個の星の動きを分析した。その結果、オメガ・ケンタウリの中心部で、高速で動いている7つの星を発見した。この高速で動く星は、中心に強い重力源が存在する強力な証拠だという。

研究チームは、このデータから、オメガ・ケンタウリの中心部に太陽質量の少なくとも8200倍の質量を持つブラックホールが存在することを確認した。

研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使用して、オメガ・ケンタウリの中心部の高速星の運動をより精密に測定する予定だ。また、ヨーロッパ南天天文台のVLT望遠鏡と今後完成するELT望遠鏡を通じて、オメガ・ケンタウリの中心部をより詳細に観察する予定だ。

このような天文学者たちの研究により、我々がまだ経験していない知らなかった地球や太陽の起源と未来を知ることができるだろう。また、我々が属している銀河の運命、さらには宇宙の誕生までを知ることができるだろう。

アクセスランキング

スピリット航空、破産保護申請で運航継続へ…3億5,000万ドルの株式投資と8億ドルの債務再編

スピリット航空が破産保護を申請。巨額の負債と競争激化が原因で、運航は継続される。

中国がトランプ次期大統領の関税政策に反発、米防衛産業への深刻な影響を警告

トランプ氏の60%関税がアメリカの防衛産業に深刻な影響を及ぼす可能性があると中国が警告。

米原子力潜水艦「コロンビア」釜山に入港、韓米の防衛態勢強化を推進

アメリカ海軍の原子力潜水艦コロンビアが釜山に入港し、韓米海軍の協力を強化する方針を発表。

高齢者の握力が糖尿病発症リスクに影響、筋力の重要性が明らかに

65歳以上の高齢者は握力が弱いほど糖尿病リスクが高まり、筋力強化が予防に効果的とされる。

中国の結婚件数が過去最低に迫る、少子化の深刻化が続く

中国の結婚件数が急減し、2024年は1985年以来最低の660万組になる見込み。少子化が深刻化。

トピック

スピリット航空、破産保護申請で運航継続へ…3億5,000万ドルの株式投資と8億ドルの債務再編

スピリット航空が破産保護を申請。巨額の負債と競争激化が原因で、運航は継続される。

中国がトランプ次期大統領の関税政策に反発、米防衛産業への深刻な影響を警告

トランプ氏の60%関税がアメリカの防衛産業に深刻な影響を及ぼす可能性があると中国が警告。

米原子力潜水艦「コロンビア」釜山に入港、韓米の防衛態勢強化を推進

アメリカ海軍の原子力潜水艦コロンビアが釜山に入港し、韓米海軍の協力を強化する方針を発表。

高齢者の握力が糖尿病発症リスクに影響、筋力の重要性が明らかに

65歳以上の高齢者は握力が弱いほど糖尿病リスクが高まり、筋力強化が予防に効果的とされる。

中国の結婚件数が過去最低に迫る、少子化の深刻化が続く

中国の結婚件数が急減し、2024年は1985年以来最低の660万組になる見込み。少子化が深刻化。

ニューヨークで話題のモルモット料理、エクアドルの伝統を味わう

ニューヨークのレストランでエクアドルの伝統料理・モルモットのローストが人気を集めている。

トヨタと現代自動車がモビリティ未来へ向け、水素・自動運転分野での協力強化

現代自動車とトヨタの会長が再会し、水素や自動運転技術での協力を深める可能性が高まっている。

トランプ2期政権発足控え、ビットコイン9万ドル突破!仮想通貨規制緩和への期待高まる

トランプ再選でビットコインが急騰、SEC新委員長への期待が高まり、規制環境が変化する可能性が示唆。

関連記事