イスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフが、ついに戦時内閣を解散した。
ハマスとの停戦を求めていた中道派のベニー・ガンツが、強硬派に振り回されるネタニヤフ首相に失望し、内閣を離脱したことによる予定通りの流れだった。
エイモス・ホクスタイン米特使が現地時間の17日、イスラエルを訪問中、戦時内閣は8ヶ月ぶりに崩壊した。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、ファイナンシャルタイムズ(FT)などの外信によると、ネタニヤフ首相は前日夜の国家安全保障会議で昨年10月に開戦初期に結成された戦時内閣を解散したと発表した。
戦時内閣は少数派で構成され、これまで最高意思決定機関の役割を果たしてきた。
中道派のガンツは、ネタニヤフが強硬派に振り回されハマスとの対立を深化させ、人質の解放を困難に招いているとして戦時内閣を離脱した。
戦時内閣が解散されたことで、ネタニヤフは国家安全保障を通じて戦争の意思決定を行うこととなった。
イスラエル政府関係者によると、ネタニヤフ首相は敏感な問題については少数グループと協議して決定することになる。
ガンツともう一人の中道派、ガディ・エイゼンコットも戦時内閣から手を引いた。
彼らが離れると、極右勢力のイットマ・ベンジビール防衛大臣とベザレル・スモトリッチ財務大臣が戦時内閣の参加を求めたが、ネタニヤフは戦時内閣ではなく安全保障内閣を通じて重要な問題を決定することにした。
彼らが離脱したことで、ネタニヤフはもはや中道派の意向を気にする必要がなくなったが、米国の圧力からは解放されない。
米国はイスラエルを全面的に支持しながらも、ハマスとの停戦を通じて人質を解放するように圧力をかけている。
ホクスタイン特使は17日、イスラエルでネタニヤフをはじめとするイスラエルの高官らと次々に接触し、18日にはレバノンにてその地域の高官たちと面会する予定だ。
ホクスタインのイスラエル、レバノン訪問は、イスラエルがハマスとの戦闘を続ける一方で北部国境に接しているレバノンの武装勢力ヒズボラとの対立が深まる中で行われた。
イスラエルがレバノン南部を攻撃し、ヒズボラの最高幹部の一人であるタレブ・サミ・アブドゥラを殺害したことで、両者の局地戦が激化している。
国際社会の批判の中でハマスとの戦争を止めないイスラエルが、ヒズボラとの緊張が高まる中、ヒズボラはその報復として、イスラエルに対し3日間で数百発のロケットとドローンを発射した。
戦時内閣の解散がイスラエルを混乱の渦中に陥れる見通しだ。