中国の核弾頭の保有数が今年600発を突破し、2030年までに1,000発に達する見通しが示された。公式発表を上回る国防費を投じているとされる中国政府は、核弾頭の増産に加え、様々な軍近代化計画を推進中だが、深刻な汚職問題に直面している。
米国防総省は18日(現地時間)、年次「中国軍事力に関する報告書」を公表したとフィナンシャル・タイムズ(FT)など海外メディアは報じた。同報告書で国防総省は、中国が2024年半ばまでに600発以上の運用可能な核弾頭を保有すると評価。さらに、2030年までに1000発超の核弾頭を保有し、少なくとも2035年まで核戦力の拡大を続けると予測している。
これに先立ち、スウェーデンのシンクタンクのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は6月の報告書で、中国の核弾頭数が今年1月時点で推定500発に達し、前年同期比90発増加したと分析した。500発のうち実戦配備されているのは24発とされる。北朝鮮の核弾頭保有数は50発で、1年前より20発増加したと推定。同期間にインドの核弾頭も164発から172発に増加した。世界全体の核弾頭数は1万2,121発で、1年前(1万2,512発)より減少。このうち90%を米国(5,044発)とロシア(5,580発)が保有している。
米国防総省は、中国が公式発表の国防予算を40~90%上回る支出をしているとみており、2024年の総国防支出を3,300億~4,500億ドル(約48兆~65兆円)と推計。中国が2027年までの軍近代化目標を掲げ、全領域で不均衡な進展を見せていると分析している。中国陸軍は予備役や準軍事組織を含め約300万人と推定され、海軍は370隻以上の艦艇と潜水艦を保有し、世界最大規模を誇る。中国海軍の艦艇数は2025年に395隻、2030年には435隻に増加する見通しだ。
中国の軍用機は、訓練機と無人機(ドローン)を除き、空軍と海軍の保有機を合わせて3,150機と推定される。これはインド太平洋地域最多で、世界第3位の規模だ。米国防総省は、中国空軍の無人航空システムが近代化と現地化の面で米国の水準に急速に接近しており、ロケット軍も大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む新型ミサイルの開発を継続していると評価している。
しかし、中国軍の近代化計画は根深い汚職問題に直面している。米国防総省は、昨年中国軍高官の汚職が露呈し、これにより近代化に支障が生じた可能性があると分析している。中国政府は昨年下半期だけで、李尚福国防相や李玉超ロケット軍司令官(上将・大将級)など、少なくとも15人の軍高官と防衛産業幹部を汚職容疑で粛清したとされる。