韓国の通信大手会社KTが人員構造改革を進める中、退職希望者に対する「希望退職慰労金」を最大4億3000万円に引き上げたところ、約2800人が退職希望を申し出た。
この人数は、全従業員の約6分の1に相当し、一斉退職による業務上の空白を最小限に抑えるため、KTは緊急の対応を迫られている。
KTは人為的な人員削減が困難な状況下で、高額の慰労金を提示して高齢社員の退職を促した。
しかし、予想以上に多くの退職希望が寄せられ、KTは短期契約社員の採用に踏み切った。さらに、定年退職者に契約社員としての現場復帰を打診するなど、現場の人員不足を補う対策を講じている。
KTがこのような大規模な希望退職を進める背景には、社内での深刻な人材構造の停滞がある。ベテラン社員が増え続けていることで新卒採用の規模が縮小される傾向にあり、平均寿命が高くなるにつれ、高齢社員は限界まで働かざるを得ない状況に陥っている。
KTのキム・ヨンソプ社長は「現場管理職の給与水準は業界平均を上回っている一方で、過去10年以上新卒採用を行っていなかった」とし「採用と人材運用の正常化を目指し、構造改革を進める」と説明した。
一方、携帯電話事業を展開するSKテレコムも高額な慰労金を支給し、高齢社員の退職を促している。SKテレコムでは50歳以上を対象に、従来5000万円だった退職慰労金を最大3億円に引き上げた。