ハリケーン「ベリル」が、現地時間の8日、米国エネルギー産業の中心地を直撃した。
時速128kmの強風と豪雨でテキサス州を襲ったベリルは、今年米国本土に上陸した初めてのハリケーンだ。
ベリルが接近すると、製油設備の約半数が集中しているテキサス州など、メキシコ湾を取り囲んだ地域の港が閉鎖され、製油設備の運転が停止し、被害が続出した。
ファイナンシャルタイムズ(FT)によると、米石油産業の首都と呼ばれるヒューストンのジョン・ウィットモア市長は、「ハリケーンの醜悪な面を体験している」とし、「インフラの多くが大きな困難に直面している」と述べた。
ベリルは米国に上陸すると、カテゴリー1のハリケーンになった。
8日の正午には、テキサス州の住民約270万人が停電に見舞われた。地方当局の発表によれば、木が倒れて2人が亡くなっている。
テキサスは米エネルギー産業の中心地であり、全世界のエネルギーハブとしての役割を果たし、石油市場への影響力が非常に強い。今回ベリルの影響で米製油設備の運転が停止し、国際石油価格は約1%下落した。
UBSのアナリスト、ジオバニ・スタウノボ氏は、「ベリルがテキサス州一部の製油設備に大きな衝撃を与えている」とし、「製油生産が減少している」と述べた。同氏は、製油設備の運転が縮小され、石油需要が縮小したことで、石油価格が下落したと説明した。
米最大の製油企業の一つであるマラソン・ペトロリウム社は、停電によりガルベストン湾に位置する製油所での1日の製油量、63万バレルが停止したと発表した。
また、コンサルティング会社のオイルプライス・インフォメーション・サービスによると、シトゴ・ペトロリアム社(Citgo)は、1日に17万5000バレルを精製するコーパスクリスティ製油所の稼働率を下げた。
港が閉鎖されたことで、米国の石油・ガスの輸出も打撃を受けている。
米国最大のエネルギー輸出港であるコーパスクリスティ港は、7日に稼働を停止した。ヒューストン、ガルベストン、フリーポート、テキサスシティなどの港も稼働が止まっている。
海洋石油設備も同様に稼働に支障が出てきている。メキシコ湾の石油生産、米石油生産の約15%が縮小した。シェル、BP(ブリティッシュ・ペトロリウム)、シェブロンなどは、最近数日間で台風に備え海洋石油プラントの一部の従業員を撤退させたと発表した。
シェルはペリド・プラットフォームを完全に閉鎖し、すべての従業員を撤退させた。
コンサルティング会社のインバースは、1日に7万8000バレルを生産していたペリド・プラットフォームが正常に稼働を再開するには1週間はかかると予測している。
同日、国際石油価格は下落した。国際石油価格の基準であるブレント原油は、先週末よりもバレルあたり0.79ドル(約128円/0.91%)下落した85.75ドル(約1万3851円)、米国石油価格の基準であるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は0.83ドル(約134円/0.99%)下落した82.33ドル(約1万3298円)で取引を終えた。